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一般社団法人 日本経済団体連合会が2018年に発表した資料によると、企業が選考にあたって特に重視した点として、82%もの企業が、「コミュニケーション能力」と回答していることが分かりました。
コミュニケーション能力と聞いて、自分もなんとなくアピールしやすいのではと考える就活生も多いでしょう。しかし、コミュニケーション能力といっても捉え方は人によって異なり、アピールする人が多い分、伝え方によっては評価に繋がらなくなります。
ここでは、コミュニケーション能力がより企業の採用担当者に伝わる言い換え方法やアピール方法について解説します。
社会でアピールできるコミュニケーション能力とは
「誰とでも話せる」「話を聞くのがうまい」だけではNG
コミュニケーション能力をアピールする際に「誰とでも話せる」「話を聞くのがうまい」という人がいますが、このアピールでは採用の評価に繋がりません。
「誰とでも話せる」「話を聞くのがうまい」というコミュニケーション能力のアピール方法は、比較的持ち合わせている人も多く、ありきたりな内容では他者との差別化ができないためです。
自己PRでは、自分の人柄と、企業で入社してから発揮できる強みを伝えなくてはいけません。ただ、「誰とでも話せる」「話を聞くのがうまい」だけではなく伝え方が大切になります。
円滑なコミュニケーションを取り目的・目標を達成する力
コミュニケーションの基本は、双方向的な情報伝達です。自分の言いたいことを伝える、相手の言いたいことを受け取る、この両方ができてこそのコミュニケーション能力といえます。企業で求められるコミュニケーション能力とは、円滑なコミュニケーションによって目的や目標を達成する力です。
例えば、報告・連絡・相談を密にとり合い、チームの連携をスムーズにおこなう、顧客との認識のギャップにいち早く気づき、誤解を解いてすばやく軌道修正する、といったことができる能力です。
コミュニケーションは、仕事を円滑に進めるための手段であることを念頭に置き、その能力で何ができるか、仕事にどう活かせるかを考えてアピールするようにしましょう。
自己PRが書けない時は、自己PR作成ツールを活用しよう
自己PRの内容が薄いと、志望企業に採用されません。選考を突破するには、自己PRを作り込む必要があります。
そこで活用したいのが、自己PR作成ツールの「自己PRジェネレーター」です。
このツールを使えば、簡単な質問に答えていくだけで理想的な流れの自己PRが完成します。
無料でダウンロードできるので、ぜひ活用して採用される自己PRを完成させましょう。
コミュニケーション能力の言い換え方
『コミュニケーション能力』という言葉はやや抽象的です。意思伝達力が優れているのか、気遣いが優れているのか、傾聴力が優れているのか…この言葉からはわかりません。だから、『コミュニケーション能力があります』というアピールの仕方は避けたいところです。
あなたの「コミュニケーション能力」を的確に表現できるキャッチフレーズを見つけてください。
たとえば、「相手の懐に飛び込んでいく力があります」等、あなたのコミュニケーション能力を上手く表現できるワードを探すのです。
的確なキャッチフレーズが見つかれば「コミュニケーション能力があります」というアピールよりも、ずっと印象に残る自己PRがつくれるようになるでしょう。
その他、コミュニケーション能力の言い換え方を紹介します。
論理的に説明する力
話の要点を押さえて説明する力
良好なチームワークを維持する力
顧客のニーズを的確に把握する力
人に対する気遣いができる力
コミュニケーション能力の自己PR方法
具体的な行動を述べる
「コミュニケーション能力があります」だけでは抽象的すぎて、具体的にどんなコミュニケーション能力を持っているかが、相手には分かりません。
大口の見積もりが入った際、相手方と面談することになりました。
面談の際に重要視していたのは『相手の要望を正確に読み取る』ということです。相手方が求めるスタッフ像を読み取り、納得した形で商談をまとめることができました。」
「何か」が「商談」であり、「商談をまとめた」ことが「解決」です。例では、特にビジネス性の高い場面でコミュニケーション能力が発揮されています。
ビジネス性を絡めた具体例を示すことが好ましいです。友人のもめごとを解決した、などという例では、面接官には響きません。
あなたのコミュニケーション能力をPRするには、「具体的にどうやってコミュニケーション能力を発揮したのか?」を詳しく伝えることです。
例文のように、具体的に「どうやってコミュニケーションをとったのか?どんな工夫をしたのか?」を伝えて、採用担当があなたのコミュニケーション能力をイメージしやすくしましょう。
仕事での活かし方を述べる
ただ、「コミュニケーション能力がある」だけでは、それがどう企業に役立つかを人事が中々イメージできません。「企業の役に立つ」と人事が感じられるようにするには、「コミュニケーション能力は、貴社の業務で〜という形で活かせる」というところまで自己PRをする必要があります。
優れた長所を持っていたとしても、長所が企業に入社してから活かされなければ意味はありません。
積極的なコミュニケーションが長所だったとしましょう。業務が営業であるとすれば、長所として活かされますが、業務が総務・労務のようなバックオフィスの場合は、積極的なコミュニケーションよりも、協調性をとるコミュニケーション能力をアピールしたほうが効果的です。
自己PRで忍耐力をアピールするコツ|採用担当者目線での評価ポイント付き
コミュニケーション能力の自己PR例文
「相手の立場にたって考える」の場合
私は「相手の立場にたって考える」ことの重要性を知っています。
それを実感したのが、アパレルショップの接客アルバイトで、全店員中、売上下位10%からはじめ、最終的には月間売上1位を達成した経験です。
ファッションの知識を身につけることが売上増につながると考え、各商品を研究、またターゲット層が読むファッション雑誌はすべて購入し、トレンドを理解するよう心がけました。
しかし、お客様受けは悪く、成果につながりませんでした。そこで、自身の接客の問題点を把握するため、人気店舗に「客として」行きました。
すると、成果をあげている店員ほど「商品をすすめず、こちらの悩みを聞き出す」接客をしていることがわかりました。
そこで、接客の際には、商品の魅力をアピールするのではなく「まずお客様がどうなりたいか?どんな雰囲気を目指しているか」を聞き出してから「なら、これはいかがですか」と提案するようにしました。
この接客方法が成果をあげ、全店員中で月間売上1位の成果を達成することができました。貴社においても、営業としてお客様のニーズに常によりそった提案をしていきたいと考えております。
「コミュニケーション能力」というワードではなく、「相手の立場にたって考える」と言い換えてアピールすることで、具体的になにがアピールポイントなのかが伝わりやすくなります。また、この例文では、コミュニケーション力を活かして成果をあげた経験を伝えている点も高評価です。
企業が採用したいのは「企業に利益をもたらす人材」です。お金を払って雇用するのですから、企業に利益をもたらしてくれる人を雇用したいと想うのは当然ですよね。
単に「コミュニケーションが得意です」だけでは足りません。コミュニケーション能力を使って、何らかの課題を解決したエピソードを話し、「私のコミュニケーション能力はビジネスに役立てられる」とアピールしなければなりません。
例文のように、具体的なエピソードを根拠に自己PRをすることで、アピールの説得力がぐっと増しますし、採用担当があなたのコミュニケーション能力もイメージしやすくなります。
「良好なチームワークを維持する力」の場合
私は、密なコミュニケーションで良好なチームワークを維持できることを学びました。私は大学でバレーボール部のキャプテンをしていました。部内には、練習に対する姿勢やアルバイトとの優先順位などの差で衝突する部員たちがいました。
そこで、部員たちに聞き取りをおこなったうえで、「相互を理解してチーム目標をつくる」ことを目的とした話し合いの場を設けもしました。
互いのことを理解し合えるようになっただけでなく、チームとしてみんなが同じ目標に向かい練習に励めるきっかけになったと思います。知らないことが原因で生まれた軋轢ならば、コミュニケーションさえとれれば解消できるのだと感じました。
社会に出て仕事に就いた際も、お互いの背景や状況をまずは理解して物事を進め、目標を達成していく姿勢を忘れないようにしたいと考えています。
この例文では、コミュニケーションをとることの重要性について触れています。自分が動くだけでなく、他の部員にも働きかけてコミュニケーションを促している点がコミュニケーション能力として評価できます。
「顧客のニーズを的確に把握する力」の場合
私はお客様のニーズを的確に把握する力に長けていると自負しています。家電量販店でアルバイトをしていたとき、「はじめに予算の話はしない」という自分なりのルールを設けて接客をしました。それは、予算を第一に考えてしまうと、視野が狭まってニーズに合った品物を見落とす危険性があると考えたからです。
まずはお客様の希望を聞いて、そこから絶対に譲れない条件を洗い出し、最終的に予算の範囲内でニーズに合ったものを探すようにしていました。このやり方が功を奏したのか、エリアマネージャーから奨励賞をいただくことができました。この経験を御社に入社した際には、業務で活かしたいと考えます。
この例文では「どうすれば顧客のニーズを引き出せるか」という点に重きを置いてコミュニケーションをとっていた経験について述べています。
質問の順番や言葉の選び方によって、引き出せる情報は変わります。実際に活かすことができた経験は、貴重なものです。
自己PRで評価される経験の選び方・伝え方|参考例付きで解説
コミュニケーション能力は言い換えも可能だがアピール内容に注意が必要
「コミュニケーション能力」という言葉は良くも悪くも汎用性が高く、抽象的で中身が伝わりにくい言葉です。そのため「傾聴力」や「伝える力」などのように、的確に表現できる言葉を用いてキャッチフレーズとすることで、人柄の印象がつくだけでなく、自己PRのコミュニケーション能力のエピソードもイメージしやすくなります。
企業は、「誰とでも話せる」「話を聞くのがうまい」人を採用したいわけではありません。企業が採用したい人材は、あくまで企業に利益をもたらしてくれる人材です。
自己PRでアピールするさいは、具体的にどのようなコミュニケーション能力を、どのように企業で活かすのかを意識して伝えてください。
自分の強みは本当に「コミュニケーション能力」なのか、自己分析ツールで確認しよう
『コミュニケーション能力』を自己PRする人の中には、自分の強みを勘違いしている人もいます。強みを勘違いしていると自己PRは上手くいきません。
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