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旅行が趣味の人や、自分が旅行したときに親切な代理店の人に出会ったという理由から、旅行会社への就職を希望する人は少なくありません。
大手企業や優良企業になればなるほど、就職は狭き門のため、旅行会社への就職を希望する人は、入念な業界研究と企業研究が必要です。
この記事では、旅行業界への就職を目指す人のために仕事内容や、主要企業の概要について解説します。
旅行業界ならではの志望動機の書き方も解説しますので、合わせて参考にしてください。
文系の就職先として特に人気の旅行会社
マイナビ2022卒版就職企業人気ランキングの文系ランキングTOP100には、上位にはJTBや星野リゾートマネジメントの名前が見られます。
新型コロナウイルスの影響により、旅行会社の採用が軒並み中止となるなかでも、その人気は衰えることはありません。
新型コロナウイルスの影響を受ける前の2021年のランキングには、JTBや星野リゾートマネジメントはもちろん、近畿日本ツーリストや日本旅行もTOP100に名前が上がるほどでした。
旅行会社に就職するうえで知っておきたいこと
まずは旅行会社への就職を希望するうえで、知っておきたい、仕事内容、日本の主な旅行会社、旅行会社の動向の3点を解説します。
①仕事内容
旅行会社での仕事は、目に見えているものだけでなく実に様々な職種があります。
お客様の希望に合わせ、最適なツアーを企画・提案する仕事です。パッケージ旅行としての提案から、お客様に注文を受けての提案など、交通機関、宿泊施設など旅のプランを作ります。
添乗員とも呼ばれます。団体旅行の添乗業務、利用交通機関や見学施設・宿泊施設との連絡や打ち合わせ、現地でのチケットの取りまとめなどをします。海外旅行であれば、出入国の手続きなど、旅のサポート全般を担います。
お客様の移動手段や宿泊施設の手配をします。ツアープランナーとしての仕事との兼務である場合もあります。兼務でない場合も、ツアープランナー、ツアーコンダクターとの連携が必要な業務です。
旅行会社の窓口で、お客様の対応する業務です。旅行に行きたいと考えて来店するお客様は、パンフレットなどではわからない情報を求めているため、幅広い知識が求められるコンサルタント的要素のある仕事です。
企業、組合、学校などに、団体旅行の販売をする仕事です。大口の利用を見込まれる先に売り込むため、先方とのコミュケーションや、ツアープランナーの知識が必要です。
②日本の主要な旅行会社
日本の大手旅行会社は、歴史が長い企業が多く、現在の形に至るまで、吸収合併などもありました。近年では旅行業に限らず、関連事業から別事業まで、グループ会社や関連会社を含めて、様々な分野での事業展開が一般的になっています。
脱旅行会社を目指す企業もあり、本業を旅行業以外にシフトして、リスクヘッジをしています。新型コロナウィルスの影響で、現在は先の見えない状況ですが、この状況も多角経営に一役買っているとも言えます。
旅行会社の数は多く、規模も得意分野も様々ですが、中でも主要な旅行会社は次の通りです。
JTBグループ
JTBグループは、1912年創立の老舗企業です。
観光庁が発表する旅行業者取扱額の令和元年度総計では、JTBグループの売上は2位のKNT-CTホールディングスを1兆円以上引き離していることが分かります.。2021年2月以降、JTBグループは資本金1億円の中小企業となりましたが、現在でも、日本全国と海外にある販売網の多さでは抜きん出ています。
JTBグループのキーワードは「“脱”旅行会社」。
旅行業・観光事業・図書の出版・航空旅客取扱業・貨物代理店業・通関業・倉庫業など、旅行業を中心に、実に幅広い事業展開をしています。業界最大手でありながら、旅行会社としてだけでなく、「地球を舞台に交流創造をしていく会社」を目指し、近年では益々、旅行以外の分野の開拓に力を入れています。
海外出張できない企業のための「オンライン見本市」や、「ウェディングプランオンライン相談」「リモート株主総会」など、個人のお客様だけでなく、多くの企業や団体との繋がりを活かして、JTBらしさを求めています。
JTBグループ会社概要
KNT-CTホールディング
KNT-CTホールディングス株式会社は、2013年の「近畿日本ツーリスト」と「クラブツーリズム」の経営統合によって生まれました。
前身の有限会社関急旅行社の創業年は1941年と、旅行会社として長い歴史のある企業です。資本金は80億で、国内外の販売網と、介護・宇宙旅行事業・保険・イベント企画・情報処理など多岐に渡る事業展開をしています。
「世界中の人々の夢と感動のため、私たちは常にチャレンジします」をビジョンに、旅行を通じて社会課題の解決を図ることに取り組んでいます。地域密着型、イノベーション型プロジェクトなど、文化遺産や観光資源の国内外の発信にも力を入れている企業です。
KNT-CTホールディング会社概要
エイチ・アイ・エス
株式会社エイチ・アイ・エスは、1980年創業の、業界内では新しい会社です。
資本金は183億6千万円です。旅行業では、他社と異なり、海外旅行の取り扱い率の高さが特徴です。旅行事業以外にも、ホテル事業・テーマパーク事業・エネルギー事業など、ロボット事業など、多角的事業展開をしています。近年では格安SIMサービスにも参入するなど、国内外のネットワークを活かした、新たな取り組みをしています。
また、史上初、ロボットがフロント業務をする「変なホテル」、AIを使ったロボット接客のある「変なカフェ」などの、独自性あるネーミングのサービスでも有名です。
本業である旅行業では、2021年3月からは「ビデオチャット接客」を全店舗に導入しました。また、ウェブ上での申込み数が店舗申し込み数を上回ったことを受け、更なるデジタル化の促進に力を入れています。
エイチ・アイ・エス会社概要
日本旅行
日本旅行の前身は、1905年日本旅行業界史上初の「日本旅行会」として滋賀県で創業されました。国内旅行を得意としていますが、海外旅行も多数扱っています。主要株主は西日本旅客鉄道で、鉄道を使った旅の展開数が豊富です。
2020年の日本旅行サービスと日本旅行OMCトラベルの統合により、日本旅行リテイリングになりました。資本金は40億円となっています。
旅行業以外にも、運送代理業、倉庫業、総合リース業、IT事業などを始めとした多くの事業展開を行っています。
「未来を拓くアクティブカンパニー」を経営理念とし、「豊かな生活と文化の向上に貢献」をモットーとして、近年では、国際文化交流の促進のための体験旅行の提案、将来を担う子供達の健やかな成長を願う地域密着型の活動への取り組みなど、旅行会社ならではの視点を活かした社会問題にも取り組んでいます。
日本旅行|会社概要
阪急交通社
1948年創業の阪急交通社は、阪急電鉄株式会社の航空代理店としてスタートしました。
株式会社阪急阪神交通社ホールディングスとして商号変更後、2007年に旅行事業を営む株式会社阪急交通社として、現在の形となりました。2021年4月1日時点で、資本金1億円、従業員数は2,646名と、業界大手の中では小規模の会社です。
大手他社と比べ、旅行業以外の事業展開は少なめとなっていますが、損害保険代理業、両替商、広告代理業などの業務展開もしています。
「お客様の笑顔」と「元気な社会」を目指した社会への貢献を経営理念とし、「喜びと感動」をもたらすサービスの提供を目指しています。また、働きやすい環境がよいサービス提供につながるという考えの元、社員の働きやすさを考えた職場づくりを目標としている企業です。
阪急交通社|会社概要
③旅行会社の動向
2020年3月、国内旅行全般の業況は、新型コロナウィルス感染症の広がりを受け、過去最悪となりました。
新型コロナウィルス禍で、大きく変わった旅行業界。感染拡大、緊急事態宣言の発令、移動規制と、人々の意識や行動がこれまでと大きく違う中で、今後の動向を知ることは容易ではありません。
2021年の宿泊旅行統計調査によれば、2020年5月時点の延べ宿泊者数は、前年同月比マイナス85%近い落ち込み率となりました。訪日外国人旅行者数は激減し、4月には全年同月比で、マイナス99.9%にまで減り、2900人まで落ち込みました。
大手旅行会社の予約人数も、前年比9割減となり、約4割は国の支援制度を利用し、約5割も活用する意向ですが、最大手であったJTBも事業を縮小し、中小企業になるなど、苦しい状況が続いています。
しかし、これをチャンスと捉え、オンラインでの販売などのデジタル化、バーチャル観光を始め、オンライン商談、オンライン見本市など、独自の取り組みをする旅行会社が増えています。これをきっかけに、各社は今後のアフターコロナを見据えて、接客方法、営業方法、自社の事業展開のあり方を見直すなど、独自路線の打ち出しに力を入れています。
店舗を置かないネット営業のみの企業の参入
近年では、インターネットの普及と共に、店舗を置かずにネット営業のみの企業の参入も目立ちます。
・比較.com
・一休など
のポータルサイトです。いずれも実店舗はなく、ネット専業の旅行会社です。オンライン決済が可能であり、比較検討から予約・支払いまで全てウェブ上で完結するため、ネットショッピングに抵抗のない世代から人気です。
楽天は全日空と共同出資での楽天ANAトラベルオンラインで「ANA楽パック」を提供し、同じく宿泊予約サイトのじゃらんもJALと提携して旅行のネット販売をしています。
近年では、近畿日本ツーリストが国内宿泊予約サイト「ステイプラス」、JTBは自由度の高いパッケージツアー「ダイナミックパッケージ」と呼ばれるサービスを開始し、ネット販売の旅行会社との違いがなくなりつつあります。
旅行会社への就職に向いている人材
コミュニケーション能力がある
旅行会社での仕事は、ホテルや航空会社とのコミュケーション、お客様とのコミュケーションが多くなります。
同じ行き先だとしても、旅の目的は千差万別で、求めるものも人によって異なります。丁寧なコミュケーションで、お客様の気持ちに寄り添えば、満足して頂ける旅を提案できるでしょう。
知識がいくらあっても、コミュニケーション能力がなければ役立つ情報の提供はできませんし、伝え方が悪ければクレームになる可能性もあります。
柔軟性がある
臨機応変にいかなる状況にも対処できる柔軟性は、旅行会社の勤務において大切な資質です。
自然災害やアクシデントに見舞われた時、別の移動手段を探したり、別の宿泊場所を見つけたりする必要が出てくる場合もあります。そのため、柔軟に対処して、旅程を変更する、代替手段を見つけるなどの対応ができなければなりません。
また海外では、日本の様に全てが定刻通り、予定通りに物事が運ばないことは、決して珍しくはありません。突然の早い閉館、突然のフライトのキャンセルなど、いかなる状況にも対応しツアーを続行する柔軟性が求められます。
旅行会社に就職するために取得しておきたい資格
旅程管理主任者資格
旅程管理主任資格は、旅行会社が企画する旅行に同行するツアーコンダクターが取得する必要のある資格です。
旅程管理主任者資格には2種類あります。国内旅行の添乗のみ可能な「国内旅程管理主任者」と、国内外両方の添乗が可能な「総合旅程管理主任者」です。いずれも、旅行会社へ就職する際の必須条件とはなっていませんが、添乗業務を希望する場合は、取得が必須となっています。
一般的には、入社後に資格を取るケースが多くなっています。どちらも受験に年齢制限はなく、登録研修期間での研修に参加によって取れる資格です。
インターネット旅行情報士検定
インターネット旅行情報誌検定は、インターネットの仕組みを理解し、ウェブ上の旅行情報を活用できる能力、またネットワーク管理・セキュリティなどの知識を有しているかどうかを判断するための試験です。2級では基礎的な知識、1級では、旅行に関するウェブサイトの構築やネットワーク管理、セキュリティに関する知識も問われます。
どちらも100分間のオンラインでの試験で、インターネット接続ができる環境であれば、どこからでも受験できます
通訳案内士
全国通訳案内士とは、外国人に付き添い、外国語を用いて通訳案内をする仕事です。通訳案内士試験は、JNTO(日本政府観光局)主催の、全国通訳案内士として必要な知識や能力を判断するための国家試験です。全国通訳案内士の試験は、外国語能力のほかに日本の歴史・地理・文化などの高い知識が必要で、合格者は都道府県に登録されます。
2018年1月に「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」が施行されました。これによれば、筆記科目に「通訳案内の実務」が追加されました。また、全国通訳案内しとしての仕事を続けるためには、通訳案内旅程管理や災害時の応対等の実務に求められる知識に関する研修の受講が、5年ごとに義務付けられています。
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旅行会社の志望動機例
例①
私は、アウトセールスとして、団体旅行の販売をしたいと考えています。企業、組合、学校などのお客様の希望に合った旅行を提案し、世界で1つの思い出作りのお手伝いをしたいと考えるからです。
私が貴社を志望する理由は、高校の修学旅行で中国へのツアーを催行していただき、真の文化交流を体験できたからです。この経験は、私の人生の大きな転機となり、日本人としてのアイデンティティを再認識することにも繋がりました。
以来ボランティア活動として、外国人との交流の場を常に持ち、日本の文化遺産を紹介するお手伝いをしています。
是非この経験を活かし、一生心に残る旅作りのお手伝いをして、多くのお客様に喜んでいただきたいと考え、貴社を志望しました。
評価ポイント
自身の体験に基づき興味を持ったきっかけが明らかで、なぜアウトセールスの仕事をしたいのか、なぜ他の企業ではないのかがわかります。
旅がどのように自分の人生を変えたのか、また、どのような経験が、業務に活かせるのかの説明もあり、説得力があります。
例②
貴社のツアーコンダクターの仕事を希望します。なぜなら、旅行先でトラブルになった時に、お客様に寄り添える仕事をしたいと考えたからです。
初めてカナダに留学した際は、貴社の留学パックを利用しました。2回目は全て自分で手配しましたが、最初のフライトの遅れから乗り継ぎができず、空港で一夜を明かしました。翌日のフライトでも、到着地で荷物が出てこず、本当に心細い思いをしました。
この経験から、言葉の不自由な海外で、見知らぬ土地でのトラブルに寄り添う仕事ができればと思うようになりました。以来、英語の勉強を始め、現在は総合旅程管理主任者資格の勉強中です。
これらの知識を活かし、是非、お客様が安心して旅行できるようお手伝いをしたいと考え、貴社を志望しました。
評価ポイント
自分の困った体験から、自分と同じ思いをして欲しくないという気持ちをモチベーションに、お客様のお手伝いをしたい気持ちが伝わります。
業務で必要なスキルを身につけているとわかり、やる気とと即戦力となれることがアピールできています。
例③
店頭でのカウンターセールスで、個々のお客様の希望を叶える仕事をしたいと考えています。数年前、フランス旅行に行くため、貴社のカウンターに相談に行きました。
航空券とホテルと、ホテルまでの移動のみのプランでしたが、私たちの希望を伝えると、現地の情報の説明、おすすめのレストラン情報などのアドバイスを頂きました。観光地で使える割引チケットなどもいただき、希望通りの観光もでき、よい旅となりました。それ以来、いつか自分の同じ仕事をしたいと考えるようになりました。
私の強みである共感力と、コミュニケーション能力を活かし、幅広い商品の中から、個々のお客様の気持ちを汲み、ニーズに合う旅のご提案をし、喜んでいただけるアドバイスができるよう、是非、貴社でカウンターセールスの仕事をしたいです。
評価ポイント
志望先企業のカウンターセールスとの経験で、自分たちの希望通りの旅作りのお手伝いをしてもらった経験から、今度は自分の同じ仕事をしたいと思うようになったきっかけがよくわかります。
お客様の気持ちに寄り添い、何が求められているのかを汲み取り、旅のお手伝いをしたいという思いが伝わります。さりげなく自分の長所がアピールできているのも、好印象です。
旅行会社へ就職を希望する人は求める人物像を把握したうえで選考対策をしよう
旅行会社で求められる人材は、柔軟性があり、コミュニケーション能力が高い人物です。同じ職種でも会社によって求められる人物像が異なる可能性もあるため、企業研究を通じて把握しましょう。
人気が高い旅行会社では、企業研究不足で選考に進むと内定を勝ち取ることは難しいです。自分が志望する旅行会社の志望職で求められている人物像は何かポイントをしっかり押さえ、十分な対策をして選考に臨みましょう。
時間がかかりがちな自己分析が簡単にできちゃうツールがあるのをご存知でしたか?
パッと自己分析を終えたい時に使えるのが、使えるのが適職診断テスト「AnalyzeU+」です。
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これは、私がテストした時の診断結果です。この通り、かなり詳しく教えてくれます。
偏差値形式で表示してくれるので、「自分の強みは何なのか?」「向いている仕事は何なのか?」「どんな弱点があるのか?」「向いていない仕事は何か?」が一発でわかります。自分の向き・不向きがわかるので、自己分析で適職について考える時にとても役立ちます
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