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就活をするにあたって、多くの人が綿密な業界研究をするでしょう。ただ、WEB上の情報やOB訪問だけでは、本当の業界の姿はわからないもの。
志望する業界が自分に合っているのか、働く上ではどんなところに気を付けたらいいの?ブラックなのか、ホワイトなのか?など、聞きたくても聞けないリアルな姿をお届けします。今回はIT業界で実際に働く人にアンケートしました。
アンケート概要
- 調査期間:2019/5/20-2019/5/23
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:IT業界で働いた経験のある社会人歴15年目未満の男女
IT業界とは
日本語では情報通信産業とも呼ばれる「IT業界」。総務省のデータによると、2015年度の市場規模は2兆3,954億円で成長率10%以上とまだまだ伸びる可能性を秘める業界です。
特に近年はECサイトなどやアプリ、電子決済など生活のあらゆる面でITが関係してきており、人々の生活を快適にしています。
主な分野
広くIT業界といっても、分野は様々です。大きく分けると下記の4つに分類されます。
WEB業界
ECやWeb広告、ソーシャルゲームなどWEB上で提供されているサービスに関連する業界を指します。SNSやWebニュースなどもこの分野に当てはまります。
身近なサービスが多いので、ITというと一番に思いつく人も多いのではないでしょうか。代表的な企業としては、楽天株式会社やヤフー株式会社などが挙げられます。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのデバイスを動かすためのシステムに関連する業界をソフトウェア業界といいます。
ソフトウェアの中でもパソコンを動かすためのオペレーションシステム(OS)と会計ソフトやセキュリティソフトなど何か決まった作業を行うために使われるアプリケーションソフトがあります。
OSでは日本マイクロソフト株式会社、アプリケーションソフトでは、セキュリティソフトを提供するトレンドマイクロなどが挙げられます。近年ではIoT化が進み、注目されている業界です。
ハードウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのデバイスをハードウェアといい、これらの製造を担っているのがハードウェア業界です。
IoT化により、ハードウェアの種類も増えてきており、注目されています。たとえば、GoogleやAmazonが提供しているスマートスピーカーなど今までとは異なる形で生活に溶け込むデバイスも増えてきています。
外資系企業ではAppleやAmazon、日本では富士通、NECなどが代表的です。
情報処理サービス業界
情報処理サービス業界は、金融や物流、医療などIT以外も含めたあらゆる業界の基幹システムの構築・運用を行う業界です。SIと呼ばれることもあります。
お客様先での開発や受託開発を行う仕事が主で大きなシステムの設計、構築の場合何年もかかることもあります。
代表的な企業はNTTデータやIBMなどですが、それらは一次請けと呼ばれる企業で、一次請けから受託する二次請け三次請けの中小企業が業界の多くを占めています。
特徴的な職種
IT業界の特徴的な職種をいくつかご紹介します。
システムエンジニア
システム設計を行う上での要件定義や業務設計、予算や人員のマネジメント、構築後のテストなど書記段階からプロジェクトの最後まで一気通貫で対応する職種です。
設計を担うため、技術の知見ももちろん必要になりますが、お客様のニーズをくみ取って設計したり、プログラマーなどの関係者に伝えたりすることが重要になるためコミュニケーション能力に長けた人が向いているといえます。
ITコンサルタント
営業職種の代表格がITコンサルタントです。経営者目線にたって、企業のコンサルティングを行い、経営を円滑に進めるためのITソリューションを提案します。
俯瞰して物事を的確にとらえる力や論理的に課題解決をする力が求められるほか、技術の知見も必要になります。
プロジェクトマネージャ
プロジェクト全体をマネジメントするのがプロジェクトマネージャです。個々の機能やサービスを管理・マネジメントするシステムエンジニアを管理し、プロジェクト全体を進めていくのがプロジェクトマネージャの役割といえます。
システムエンジニア同様の知識を持ちながら、より全体をマネジメントしていく能力が必要となります。
IT業界の市況や特徴
現在のIT業界のトレンドや今後の市場の動向トピックはどのようなものがあるでしょうか。
AIやIoTなど先端技術の進歩
技術進歩のスピードが速いのが、IT業界の特徴ともいえますが、近年ではAIやIoTなどの技術が個人の身近に感じられるようになってきました。
またクラウドでどこでも情報を共有できたり、データを蓄積して活用したりとさらに利便性を高める技術が当たり前に生活に浸透してきています。
技術進歩のスピードが早いため、常に成長実感が得られることが魅力ですが、常に勉強し続けていかなければいけない大変さもあります。
人員不足による売り手市場が継続
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」で、IT需要の伸びによっては2030年に約79万人のIT人材が不足すると試算しています。
ITが社会に浸透していく流れは加速していますが、その流れに対応していくには、IT人材が必要不可欠です。プログラミング教育必修化など、IT人材の育成にも力を入れるほどで、当面は売り手市場が続くとみられています。
他業界×ITのビジネスが促進
Fintech(金融),HRTech(人材)など、既存産業のIT化が促進しています。個人の利便性が高まるだけでなく、各業界も生産性が向上したり、より安全にサービスを提供できるようになったりとITがもたらすメリットは大きいです。
実録!IT業界の中の人が語るホンネ
それではここから、IT業界で働いた経験のある方々の業界の本音を紹介していきます。
Q1.IT業界で働いてみて、入社前(その業界に入る前)とのギャップはありますか?
残業や夜勤がない。(社会人歴3年目/一般社員/ネットワークエンジニア/SI業界)
思った以上に硬い仕事である。テレビで紹介されているIT業界とは違う。(社会人歴10年目/一般社員/システムエンジニア/SI業界)
特段、ギャップはなかったですが覚えることが多く、勉強するのが大変です(社会人歴9年目/課長クラス/マーケティング/WEBマーケティング業界)
ギャップがある、と回答した方が多くいました。すでに書いた通り、ITといっても業界は広くイメージしていた業界と異なる印象を持った人も多かったのかもしれません。
特に激務の印象だったけれど、残業は少なかった、という回答が多かったです。職種や企業規模によっても残業の多い少ないがあるようですね。
Q2.評価や昇進はどのように行われますか?
評価基準は明確で、頑張り次第でいくらでも上に上がれる。(社会人歴2年目/一般社員/システムエンジニア/SI業界)
評価基準が明確に定められている。務めた年数や職能レベルシートがある。(社会人歴3年目/一般社員/ネットワークエンジニア/SI業界)
目標管理制度があり、半期に1回、上司による人事考課がされる。それに基づいて評価や昇進が決まる。ただし、実態としてはオーナー会長の意向が強く働くため、目標管理制度は形骸化している。(社会人歴14年目/課長/経理/SI業界)
評価基準が明確、評価によって昇進が決まる、という回答が多い印象でした。また、年功序列での評価という回答がほかの業界に比べて少ないです。定められた評価基準をもとに評価されるというのは明朗で若くてもチャンスがありますね。
Q3.どのような人がIT業界に向いていると思いますか?
新しい知識を得ることが苦にならない人(社会人歴7年目/主任/営業/情報処理サービス業界)
業界的には新しい企業の参入も多いため、常に情報収取を行う人、展示会などで名刺を配ったりできる社交的な人。(社会人歴10年目/一般社員/事務・顧客サポート/通信業界)
物事の本質を見抜くのが得意な人、あとはIT系が好きな人(社会人歴2年目/一般社員/システムエンジニア/SI業界)
技術の進歩のスピードが速いがゆえに常に新しい知識を得ることが好きな人が向いているという意見が多かったです。またITが好きな人、という意見もありました。好きなことだからこそ常に勉強していても苦にならないのかもしれません。
Q4.あなたの働く会社はブラックだと思いますか?ホワイトだと思いますか?
【ブラック】サービス始業が毎日あり、業務量が多すぎる(社会人歴7年目/主任/営業/SI業界)
【ややホワイト】IT業界にしては残業に対する目も厳しいですし、しっかりしていると思います。(社会人歴2年目/一般社員/ITコンサルタント/WEBマーケティング業界)
【ややブラック】就業規則では完全週休二日制をうたっているが、実態はボランティアで第二土曜日は出社しなければならない。また、創業当時から在籍している古参社員によるパワハラ体質がひどい。(社会人歴14年目/課長/経理/SI業界)
【ホワイト】有給休暇も毎年付与分消化できている。プロジェクトのリリース日などを除いては急な体調不良でも休暇をいただけるし、運用保守員は複数人体制で対応している。残業時間も36協定に則り管理されているので無理な残業、休日出勤は少ない。(社会人歴10年目/一般社員/システムエンジニア/SI業界)
ブラックと答えた方とホワイト答えた方の割合は半々くらいでした。特に残業については企業規模や創業年数問わず気にしている会社が多いようです。
また、SI業界でもブラックとホワイトと大きく回答が違ったりと会社によりけりな印象です。
Q5.あなたの働く会社や業界はパワハラはセクハラなどはありますか?
古参社員が若手社員に「おまえふざけんな!」とか「おまえ会社辞めろ」などの暴言を毎日のように聞く。自分も言われたことがある。(社会人歴14年目/課長/経理/SI業界)
個人の体感にもよるが、パートナー企業との飲み会や、泊まり込での研修もあり、人間関係が密である。そのため、身体的距離が近い他社の上司などとも交流する必要が出てくる。中小企業も多く、小さな会社では、セクハラなども訴えづらく、ワンマンの風潮もある。(社会人歴10年目/一般社員/事務・顧客サポート/通信業界)
セクハラやパワハラがあると回答した人は約半数程度いました。こちらも企業にもよるかと思います。
あると回答した方のエピソードは明らかにパワハラ、セクハラととらえられるような内容が多く、そういった企業には入社しないようにしたいものです。残業が多いと回答した会社はセクハラやパワハラについてもあると回答したケースが多いのが印象的でした。
Q6.業界ならではの風習やタブーなどはありますか?
IT系の会社には多いかもしれませんが、服装がオフィスカジュアルで良いとされているため比較的ラフな格好で来る人もいます。(社会人歴2年目/一般社員/ITコンサルタント/WEBマーケティング業界)
IT業界は激務もイメージもあるが、大手であれば産休育休を取得する人もいた。パートナー企業のセミナーに駆り出されることもあり、断りづらい。(社会人歴10年目/一般社員/事務・顧客サポート/通信業界)
IT業界は建設業界に似たところがある。大きなプロジェクトにかかわるためには、大手IT企業の縄張りに入り込む必要がある。そうしないと仕事を受注できない。(社会人歴14年目/課長/経理/SI業界)
服装がオフィスカジュアルでよいなど規定が緩い部分もありながら、関係性を重んじるところもありました。また、飲み会への参加必須や残業しないと評価されない会社などもあり少し体育会系な印象も持ちました。
IT企業は想像よりも残業が少ない!
メディアの影響でIT=残業が多い、激務、ブラックと考えている方もいるかもしれませんが企業によっては残業なし、セクハラやパワハラもない、ホワイトであるという会社も多かったです。
また、評価制度がしっかり決められていると回答した方も多く、実力を出して評価してほしいという人には向いているかもしれません。