旅行好きの方や人をおもてなしすることが好きという方にとって、就職活動の際に要チェックな業界は、旅行業界でしょう。
私たちの生活の中でも比較的距離が近く、業務内容をイメージしやすいように感じる旅行業界ですが、就活生が本当に欲しい実際の業務内容や評価制度、業界の裏話などはなかなか調べることが難しいはずです。
そこで今回は、実際に旅行業界で働く方にアンケートをしてみて分かった、リアルな内容をお届けします。
アンケート概要
- 調査期間:2019/5/20-2019/6/25
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:IT業界で働いた経験のある社会人歴15年目未満の男女
旅行業界とは
日本での業界規模がおよそ5兆円を超え(平成30年度主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計による)、今後も訪日外国人の増加などにより発展が期待される旅行業界。
旅行業界とは、基本的に旅行者のために交通機関や宿泊施設の手配を行うとともに、様々な企業と協力して旅行プランを企画し、販売する企業群のことを指すものです。
基本的な販売の流れとしては、ホテルなどの宿泊施設と移動を担う交通期間から部屋と座席を確保して、魅力的にパッケージング化しながらツアーを催行します。
一連の流れの中でより魅力的な企画を作成して多くの旅行者を集めるとともに、現地でのガイドやサービスによってお客様を満足させることが、旅行業界における大切なポイントです。
また昔から存在する店舗でのデスク販売に加えて、近年ではインターネット販売に力を入れている企業が増加していることも業界の特徴でしょう。
JTBグループやエイチ・アイ・エスなどの大手企業はもちろん、楽天などのIT企業も旅行業に参戦しており、業界の定義も曖昧になってきています。
主な分野
旅行業界は「旅行業」と「旅行業者代理業」の2つに区分されるのですが、2つの業種形態の間には「旅行商品の企画を行うかどうか」という明確な違いがあります。
原則、旅行業の会社は旅行のパッケージングやプランニングをメインで行い、旅行業者代理業は、旅行業の企業が企画したツアーやプランの代理販売を行うのです。
また旅行業の企業は更に、海外・国内の旅行を企画・実施できる「第1種旅行業」、国内旅行のみの企画・実施ができる「第2種旅行業」、一定の条件を満たす国内旅行を企画・実施できる「第3種旅行業」という3つに分類されます。
定義からも分かるように第1種旅行業を運営することが3つの中で一番厳しく、国土交通省に登録する(その他2つは、営業所の所在地を管轄する都道府県)ために、登録条件として基準資産3,000万、営業保証金が7,000万以上必要となるのです。
主な職種
ここでは旅行業界の方へのアンケートを元に、いくつかの職種についてご説明いたします。
旅行プランニング・開発
旅行パッケージの企画を行う職種です。
「お電話にてお客様から旅行の相談を受け、目的にあった宿泊施設や交通機関の提案と手配を行なう」(社会人歴5年目/一般社員/旅行手配/外資系旅行プランニング業)といったように顧客起点の場合と、「売れると思う旅行のツアーの企画が主な業務。市場を見て価格設定し、コントロールする。お客様からのお問い合わせをもらえるようなツアー作り。」(社会人歴6年目/一般社員/企画/海外旅行プランニング業)といったマーケット起点の場合があります。
法人営業
「企業へのテレアポ営業、出張の手配」(社会人歴10年目/副所長/営業/大手旅行業)というように、大口契約を取るために旅行パッケージを持って法人への営業を行います。
またその他にも、店舗にて顧客向けの営業を行うカウンター営業や、顧客のツアーに添乗する添乗員・ガイド、更には事務職といった職種があります。
旅行業界の市況や特徴
旅行業界を志望するのであれば、業界としての現状がどうなっているのか、また他の業界と比べて目立った特徴があるのかどうかを知っておくことは非常に大切です。
全体的な流れとして訪日外国人は年々増えてきていて、2020年の東京オリンピックを1つの契機として更に盛り上がりを見せることが予想されますし、海外に出国する日本人の数も微増や微減を繰り返しながらも、全体的には増えていくことが予想されています。
しかし一方で、民泊事業や格安航空などの利用を原因としたパッケージ旅行客の減少や、消費税増税による娯楽への支出減少など、マイナス要素となりうるニュースに関しても、枚挙に暇がありません。
ここからは旅行業界の市況と特徴について、3つのトピックをもとに紹介していきます。
訪日外国人の受け入れ増加
前章でも述べましたように、2020年の東京オリンピックや日本特有の歴史・文化があるおかげで、訪日外国人の数は年々増えてきています。
国土交通省の観光庁は、2020年の訪日外国人旅行者を4000万人にすることを目標に現在様々な施策を打っており、「ビジット・ジャパン事業」という海外への宣伝活動や旅行会社への働きかけを促す戦略も、目標達成のための1つの手段として有名なものです。
旅行業界としても、インバウンドに関する企画や戦略を打ち出すことは今後も非常に重要であり、いかに観光客を増やしていくかを考えるとともに、観光客の単価を上げていくことも考えるべき大切なポイントかもしれません。
また、東京や大阪・京都など大都市への観光客は増えている一方で、訪日外国人の方をいかに地方都市に訪れさせるかも大切なポイントの1つです。
旅行業界としてトレンドとなるインバウンド戦略について、国や地方の状況からしっかりとした理解ができれば、就活の際には非常に役立つでしょう。
国内旅行者の伸び悩み
訪日外国人の数が年々増えていく一方で、国内の旅行者は伸び悩んでいることが旅行業界の課題の1つでもあります。
冒頭で述べましたように、海外へ出国する日本人の方は増加の兆しを見せているため、国内旅行をする日本人の方をいかに増やしていくかが重要なポイントかもしれません。
国内旅行者が減少している理由としては、慢性的な不況感がもたらす支出の低下やそもそもの人口減少が考えられるかもしれませんが、いずれにせよ課題に対して旅行業界が今後どのように対応していくかは、旅行業界を志望する就活生にとっては必見と言えるでしょう。
国内の魅力をアピールするためにどのようなパッケージングを行うのか、もしくは国内よりも海外の企画にフォーカスしていくのか、それぞれの企業ごとに異なる部分もあると思いますので、ぜひチェックしてみてください。
進むインターネット化
旅行業界では、従来事務所や営業所で行う対面のカウンターセールス(机の上で営業を行うこと)が主流でしたが、現在では時代の流れからインターネットで情報を検索して、予約まで完了させてしまうお客様が多くなってきています。
大手旅行会社がオンラインでの販売を強化していることはもちろん、近年ではオフラインの営業所を持たない会社も多く存在しており、就活生としては自分がどの業務に関わりたいのかを明確にしておかないと、「旅行業界でやろうと思っていたことが出来ない」というケースにも繋がるでしょう。
どの業界においても直面する「インターネット化の波」をしっかりと捉えて、旅行業界の中でどのような変化が起こり、自分はどのように対応していくのかを考えることが、就職活動においても大切な部分となりますね。
実録!旅行業界の中の人が語るホンネ
それではここから、旅行業界で働いた経験のある方々の業界の本音を紹介していきます。
Q1.その業界で働いてみて、入社前(その業界に入る前)とのギャップはありますか?
思っていた以上に業務内容が多く、勤務時間以内に終えることが難しい。その為夜遅くなることが多く、それに対しては会社は対策をしていない点は働いて初めて気づいた。(社会人歴7年目/主任/営業/旅行代理店業)
アンケートに答えていただいた方の中では、想像よりも業務量が多いという印象が多いようです。
特に、旅行に関係する地名や観光地、更には予約システムの使い方など、旅行業界でなければ触れないような知識のインプットもあるため、入社後も継続的な学習が必要ですね。
Q2.その仕事をしていて楽しい/うれしい/やりがいを感じるときはどのようなときですか?
旅行から帰ってきたお客様からお礼やお褒めのお言葉をいただけたとき。旅先での写真などを見せていただけることもありやりがいを感じる。また、リピーターのお客様からご連絡をいただけたとき。(社会人歴6年目/一般社員/企画/海外旅行プランニング業)
お客様からの「ありがとう」「楽しかった」「仕事がんばろうと思った」という言葉を直接聞ける。営業は1チームで仕事をしているので、チームで目標を達成できたときの達成感は大きい。(社会人歴7年目/主任/営業/旅行代理店業)
顧客に近く、旅行のプランを一からサポートできるという点で、お客様の笑顔や感謝の声を仕事の楽しさ、やりがいと答えている方が多いですね。
自分が旅行に行っていなくても、お客様から写真を見せてもらえるというエピソードは旅行業界ならではのやりがいの感じ方です。
Q3.評価や昇進はどのように行われますか?
実力で決まります。部署異動や昇進は自分から手を挙げない限り不可能です。先輩方に負けずに頑張り、自己判断で手を挙げ、面接と試験に合格すれば昇進できます。(社会人歴5年目/一般社員/旅行手配/外資系旅行プランニング業)
半期ごとに部署ごとに決められた目標と個人の目標の達成率を鑑みて決められる。年功序列という考えはあまりなく、入社して短くてもリーダーなど昇進していく人もいる。(社会人歴6年目/一般社員/企画/海外旅行プランニング業)
大手や日系代理店では、いわゆる年功序列的評価制度が見られるものの、外資系や海外志向の強い会社では実力主義やポイント制の適用による評価も多いようです。
自分の力で実績を作り、スピード感を持って昇進していきたいと考えている方には、向いている業界といえるでしょう。
Q4.その業種にはどのような人が向いていると思いますか?
旅行に興味があり好きな人が向いています。半ば趣味の延長くらいのモチベーションでないと、興味がないと覚える事が多すぎて嫌になってしまい、手間も多いので知識が増えていく事に喜びや楽しみを持てる、元から知識のある方が向いています。(社会人歴13年目/一般社員/代理店事務業)
大前提として旅行や海外が好きな人、興味がある人が良いと思う。また、お客様とのコミュニケーションなどのやりとりに日々楽しんで取り組める人が向いていると思う。(社会人歴6年目/一般社員/企画/海外旅行プランニング業)
やはり多くの方が「旅行が好きであること」を必要な条件としてあげていました。
ほぼ毎日旅行について扱い、それを顧客へ説明して販売する立場であるからこそ、自身が旅行好きであればあるほど、魅力や良さを伝えることが出来るのでしょう。
Q5.あなたの働く会社はブラックだと思いますか?ホワイトだと思いますか?
【ややブラック】世間で言われるブラック企業には当てはまると思うが、自分自身が「自分の働いている企業はブラック企業だ」と思っていれば、顧客からの信頼は自然と消滅してしまうので、あくまでも私はそうではないと思いたいから。(社会人歴7年目/主任/営業/旅行代理店業)
【ややホワイト】上司とは垣根がなく、いつでも相談できる環境です。また、残業についても自己申告で可能となり、システムでしっかりと管理されています。(社会人歴5年目/一般社員/旅行手配/外資系旅行プランニング業)
業務の多さから来る多忙さや残業時間から、ブラック企業だと答える方もいらっしゃいました。
一方で、いつでも相談できるオープンな職場環境であると答えている方もいらっしゃったため、あくまで企業によって環境は異なるのかもしれません。
Q6.あなたの働く会社や業界はパワハラはセクハラなどはありますか?
【ない】他社の同じ業界に務めている友人もいるが、そのような話は聞いたことがない。平均年齢も割と低く、同年代の社員が多いため働きやすい環境ではあると思う。(社会人歴6年目/一般社員/企画/海外旅行プランニング業)
【ない】パワハラ・セクハラはないものの、少人数で家族のような会社の風潮の為、多少の悪ふざけなどがあるのは確かである。それをパワハラ・セクハラと呼ぶには少し違うと感じている。(社会人歴7年目/主任/営業/旅行代理店業)
ほとんどの方が、セクハラやパワハラは無いと答えていました。
オープンで人との距離が近い雰囲気が多いからこそ、向いている人とそうでない人の差はあるかもしれませんが、和気あいあいと仕事をしたいという方には良い環境ですね。
Q7.業界ならではの風習やタブーなどはありますか?
女性社員の割合の方が多く、また年齢層も低いためお茶くみなど「昔ながら」というイメージのしきたりはまったくない。業界ならでは、という決まり事も特にないと思う。(社会人歴6年目/一般社員/企画/海外旅行プランニング業)
店舗カウンターにおける接客のルールを除けば、奇異なタブーなどは聞かれませんでした。
一方で忙しさから来る暗黙のルールというものは職場によっては存在するということですので、業務量が多い企業における雰囲気には注意が必要かもしれません。
旅行好きにはおすすめの業界
旅行業界で働く人たちのアンケートを見ていくと、やはり日頃から旅行を扱うだけあって、旅行好きの方にとっては非常にオススメの業界であるということが言えます。
しかしその一方で多くの業務や顧客対応に追われるため、好きという気持ちだけでなくしっかりと仕事への強い意識を持って入社することが求められるような業界でもあるようです。
仕事を頑張ればそれだけ報酬や評価という形で報いてくれるという会社も多く、旅行が好きであり仕事に熱中できるという方からすれば、最適の業界でしょう。
ぜひ、旅行業界で実際に働く方達のアンケート内容を参考にしながら、自分に向いている最適な業界を選び、就職活動をうまく進めていってください。
時間がかかりがちな自己分析が簡単にできちゃうツールがあるのをご存知でしたか?
パッと自己分析を終えたい時に使えるのが、使えるのが適職診断テスト「AnalyzeU+」です。
「AnalyzeU+」は、251問もの設問に答えていく本格的な適職診断テストです。設問に回答をすると、経産省の定めた「社会人基礎能力」のうち、あなたがどの面に秀でていて、どの面に弱点があるのかを教えてくれます。
これは、私がテストした時の診断結果です。この通り、かなり詳しく教えてくれます。
偏差値形式で表示してくれるので、「自分の強みは何なのか?」「向いている仕事は何なのか?」「どんな弱点があるのか?」「向いていない仕事は何か?」が一発でわかります。自分の向き・不向きがわかるので、自己分析で適職について考える時にとても役立ちます
「AnalyzeU+」を利用するには、スカウト型就活サイト「OfferBox」への無料会員登録が必要です。OfferBoxは、プロフィールを登録しておくだけで、あなたのプロフィールに関心を持った人事から選考のオファーがもらえるサイトなので、登録して損はありません。
AnalyzeU+で診断するついでに、プロフィールを詳しく入力しておくと、有名企業からの選考のオファーまで届くようになります。
「AnalyzeU+」を活用して、最速で自己分析を終わらせましょう。