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日経がまとめた就職人気ランキングによれば、生命保険業界が就活生に人気です。1位に日本生命、3位に第一生命、10位に住友生命と10位以内に3つもランクインしています。
確かに、大手生保は現時点ではブランドもあり、給与も良く、安定しています。就職先として目指す学生が多くても不思議はありません。
でも、大手生保は「安定」したい学生にとって、本当に魅力的な選択肢なのでしょうか?結論から先に言えば、「安定」や「高給」を求めて大手生保を志望するのは分の悪いカケです。
なぜ、一見安定しているように見える大手生保が就職先として魅力的ではないのでしょうか?
日本の生保需要は減っていく
それは、日本の生保需要は確実に減っていくからです。私達は未来を予想することはできません。が、1つだけ例外があります。それは人口動態です。人口動態は将来予測のデータの中でも、最も正確に未来を予測できるデータです。
日本の人口は2005年から減少し続けています。2030年には1億1500万人に、2050年には9500万人まで減少します。一方で、65歳以上の高齢者の人口は2030年には31.8%、50年には39.6まで上昇します。さらに、年少人口(14歳以下)の比率は30年には9.7%まで低下してしまいます。日本のような先進国では、栄養失調などで急死する幼児がほとんどいないため、この人口動態は確実に実現します。
では、少子高齢化が進んだ社会で、生保需要はどうなるでしょうか?生保のメインターゲットは、当たり前ですが、子供のいる家庭です。夫の稼ぎに依存している専業主婦家庭が、夫が死んでしまった時のリスクをヘッジする為に生保に入るのですね。2030年には年少人口(14歳以下)が9.7まで低下するわけですから、この子供のいる家庭がどんどんと減っていくということです。子供を育て終えた高齢者が生保に入るニーズは少ないため、この構造変化は生保業界には強烈なダメージになるでしょう。
人口自体が減少し、さらにターゲットとなる世代も減っていけば、生保の需要が減っていくのは言うまでもありません。上のピラミッド図の下部部分のしぼみがそのまま生保需要の減少につながっていくことをイメージすれば、どれだけ厳しい状況になるかは簡単に予想ができます。
さて、そんな状況でも、大手生保は今と同じような高給を保ちつつ、リストラもせずに、経営を維持していけるでしょうか。
それでも生保業界をめざす理由?
生保業界は、安定を求める学生にも魅力的な業界ですが、仕事のやりがいはそれだけではありません。
生命保険は人々が安心して暮らせるように、「もしもの時の備え」として、影で支える役割があります。病気や怪我は予測ができないものであり、いざ自分が入院や通院が必要になった時、治療費を全て賄えるだけの貯蓄があるとは限りません。
病気で入院したものの、検査や投薬があるたびに治療費が気になって仕方ないようでは、なかなか安心して体を休めることができないものです。
そんな時、治療費の心配をせずに治療に専念できるようにするために、生命保険は存在しています。
この生命保険という商材の役割にやりがいを感じ、地域社会に貢献できる人間になりたいと思う人は、生保業界を目指すのもおすすめです。
これから経営はどうなっていくのか?
少子高齢化に伴い、生命保険の需要は減っていくと予想されますが、新たな需要も発生すると考えられています。その新たな需要とは「介護保障商品」です。
ほとんどの家庭が「定年退職後の生活費」は貯めていますが、要介護状態になった時の「介護費用」まで想定して貯めている人は多くありません。いざ自分が要介護状態になった時、自分や家族が安心して暮らし続けられるように、介護保障商品の需要は高まっていくと考えられます。
また、経営を安定的に維持するため、海外へ事業展開をしている生命保険会社も多くあります。アジア諸国など、今後の成長が見込める国々において保険事業を展開し、国内市場の縮小による経営への影響を少なくしようと努力しているのです。
自己分析の浅さは、人事に見透かされる
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大手であるが故にコスト競争力がない大手生保
少子高齢化で需要が激減するといっても、日本は魅力的な市場であることに変わりはありません。需要が減っても、そのパイを上手く独占していけば、ビジネスを維持できるかもしれません。しかし、その道も険しいでしょう。なぜなら、大手生保は大手生保であるが故にコスト競争力がないからです。ネット生保には到底コスト競争力で勝てません。大手生保は、大量の高給社員を抱え、多くの保険のおばちゃんを雇用し、全国に彼らのための営業所を構えています。このコストが「付加保険料」として保険のコストに加算されるのです。
一方で、ライフネット生命のようなネット生命保険は、余分な人員や不動産を抱えていないため、付加保険料を低く設定できます。保険の本来のコストである「純保険料」は統計データからはじきだされる死亡率を基準に自動的に決定されるため、実は各社で違いがありません。保険の料金を決めているのは、純保険料の上にのった「付加保険料」なのですね。
つまり、同じ保証内容ならば、ネット生命保険を使った方が断然得なわけです。
もし、あなたが合理的な消費者ならば、同じ保証内容で出来るだけ安い保険を選ぶはずですね。大手生保は「大手」であるが故に抱えているコストのために、ネット生命保険に価格競争力で大きく劣ってしまうのです。
したがって、縮小するパイの中での勝ち残り競争でも、大手生保は厳しい戦いを強いられる可能性が高いといえるでしょう。
他社と比較して優位なポイント
ただし、ネット型の生命保険と比較して、大手ならではの優位なポイントもあります。大手生保は100年以上も続く企業が多いため、昔からの顧客との結びつきの強さは、ネット生命保険と比べて大きく差があります。顧客からの信頼は一朝一夕で得られるものではないため、長い年月をかけて培ってきた信頼関係は、ネット型などの他の新しい生命保険会社に簡単に抜かされるようなことはまずありません。
さらに、大手生保では資金力もあることから、時代のニーズに合わせて新商品を積極的に作っていくことも可能です。人々の生活スタイルや社会の抱える問題は日々変化し続けているため、より時代にフィットした商品を作り続けていくことで、多くの人へ安心を届けることができます。
メリットとデメリット
大手生命保険会社の一番のメリットと言えば、まず潰れることはないという点です。時代は少子高齢化社会ではありますが、介護保障商品の需要は高まっており、海外進出による新たな市場の創造も見込めます。
大手であれば、海外への事業展開や新たな保険商品を作り出すための資金も十分にあるため、今後もまず潰れることはないと言えるでしょう。
さらに、大手生命保険会社の社員は高給取りであることが多いです。給与水準も高く、インセンティブ制度なども豊富にある企業が多いため、自分の努力次第で、他の業界に勤める同期よりも高い報酬を受け取ることもできます。
反対に、デメリットとしては、国内の生命保険市場という市場の中では、コスト競争力が無いために他の安価なネット生命保険会社に新規顧客を取られてしまいがちだという点があります。
また、営業職であれば厳しいノルマを課せられることもあり、離職率が高いこともデメリットと言えるでしょう。
インセンティブ制度が充実しているということは、裏を返せば実力主義な企業であるということです。ただし、これは大手に限った話ではありませんので、大手生保のデメリットと言うよりは、生命保険業界全体のデメリットとも言えます。
それでも生保業界は魅力的な就職先でしょうか?
アベノミクスが大成功し、賃金が大幅上昇!さらに、何かのきっかけで草食男子や女子たちが手当たり次第に子供をつくりだすようになり、少子高齢化問題が完璧に解決!さらに、家庭をつくった彼らがネットで料金も比較せずに「やっぱり大手の方が安心だね!」と大手生保とつぎつぎに契約していく未来がくれば、大手生保は今の地位を保っていられるでしょう。あるいは、グローバル戦略が奇跡的に成功するかもしれません。個人的には、未来が実現する可能性は高くはないと思います。
会社や業界の調子が悪くなり、いざ転職!といっても、生保は特殊な業界であり、身につくノウハウも業界内でのみ通用するものが多い。もちろん、探せば転職先はあるでしょうが、同じような条件を担保してくれる会社に出会える確率は低いはずです。
大手生保会社例
生命保険会社の中でも大手となるのは「日本生命」「第一生命」「明治安田生命」「住友生命」などです。大手生命保険会社と一口に言っても、その特徴は様々。
例えば、「日本生命」は2018年度の経常収益が生命保険業界の中で第1位となっており、社員の多くが「業界 No.1」ということに誇りを持って働いています。
また、「第一生命」は大手4社の中で唯一の株式会社です。海外事業に注力していて、特にアジア圏において、M&Aを通して影響力を強めています。
三菱系企業である「明治安田生命」は、国内団体保険のシェアが約30%。大手4社の中でも、特に大企業の顧客基盤が強い企業であると言えます。
そして、「住友生命」は若年層へのアプローチを積極的に行なっているのが特徴的です。「1UP(ワンアップ)」という就労不能保険が30歳未満の若年層を中心に人気を集めています。
倍率
生命保険業界の大手4社では、採用の倍率を公開していない企業がほとんどです。
しかし、これまでの採用実績から予測するに、ほとんどの企業が50倍〜100倍の倍率となっています。
参考までに、2019年卒の採用実績(見込)は以下の通りです。
- 日本生命・・・301名〜
- 第一生命・・・301名〜
- 明治安田生命・・・101~200名
- 住友生命・・・101~200名
なお、この「50倍〜100倍」という数字は、あくまでもエントリーシートを提出した人数から予測する倍率。企業のマイページを作成しただけのプレエントリーで終わっている人数を含めると、さらに倍率は高くなるため、内定までの道のりは厳しいものだと言えます。
大手の生命保険企会社を目指す人は、企業研究や業界研究、自己分析をしっかりと行い、他の就活生と差をつけられるように努力しましょう。
主な転職先
生命保険会社に務める社員の中には、厳しい営業ノルマや業界の先行きに不安・不満を感じ、転職を決意する人も少なくありません。
では、実際に生命保険会社で働いていた人は、どのような企業へ転職をしているのでしょうか。ネットの口コミでは、以下のような企業へ転職した方がいました。
- 国家公務員
- 大手コンサルティング会社
- メーカー(営業職)
- ベンチャー企業
- 事務職 など
生命保険会社の営業で培ったコミュニケーション能力は、他業種でも活かすことができるため、営業職そのものが嫌でなければ、メーカーなどの営業職へ転職するのも良いかもしれません。
また、勤続年数が浅い場合など、これまでの経験に自信のない場合は、過去の経験よりもペーパーテストの成績が重要となる公務員や、異なる業界のベンチャー企業への転職もおすすめです。
生命保険業界が好きで、さらなるスキルアップのための転職の場合は、同業他社への転職例も多くありました。同じ生命保険会社でも企業によって雰囲気が大きく異なるため、より自分を成長させるために転職をしたい場合は、外資系の生命保険会社なども良いですね。
おわりに
生命保険という商品に心底惚れ込み、生命保険に関わりたい!という方は生命保険に就職すれば良いと思います。
ただ、学生の話を聞いていると、生命保険志望の学生は「ブランドもあるし、給与もいいし、採用人数も多くて上手く滑り込めそうだ。だから、生保」という方が多い印象があります。
もちろん、日本生命や第一生命が潰れるとは考えません。しかし、リストラや賃下げをせずに今の地位を保っていけるとも思えません。なぜなら、ターゲットになる世代が物凄い勢いで縮小していくからです。現時点で優良な選択肢が将来も優良とは限らないのです。
『ピラミッドは逆さまになる』ことを頭の隅において、就職先を選びましょう。
引用(図1)http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014/sy014f.htm
引用(図2)http://www.lifenet-seimei.co.jp/about_insurance/misunderstanding/premium/
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