学歴・職歴欄は、基本情報同様、履歴書で必ず記載しなくてはいけない項目です。自分でよく考えて書く必要のある志望動機などと比べると、学歴は簡単に書けるイメージがあるかもしれませんが、記載にはルールがあります。
提出する個人の基本情報であるだけに、学歴の書き方のルールが守れていないと悪目立ちして、恥ずかしい思いをするだけでなく、選考にマイナス印象を与えることになってしまう可能性もあります。
今回は、履歴書の中でも最も重要ともいえる情報、学歴の書き方について詳しくご紹介します。
履歴書の学歴はいつから書く?
履歴書の中で最も目立つ項目「学歴・職歴」欄。あなたがいつ、どこで、どんな教育を受け、どんな仕事をしてきたのが一目でわかる項目です。また、一目でどんな経歴かわかるため、企業と関連性がある学業を修めたのかどうかが、すぐわかります。そのため、自己PRをしなくても学歴からも専門知識が分かります。
学歴欄を見れば、卒業年だけでなく入学年も書いてあるため、何年かけて学校を卒業したのかがわかります。また、浪人をしているかどうかも、高校卒業年と大学入学年を見れば分かるようにしなくてはいけません。
そこで気になるのが、いったいいつから「学歴」を書いたらよいのかということです。この記事ではそれら履歴書に記載する学歴についての疑問に答えるべく、書き方を紹介します。
新卒は中学校卒業のときから書く
日本では中学校まで義務教育となっているため、その期間は学歴として書く必要はありません。しかし、中学校を卒業した後は、人それぞれです。就職する人もいれば、そのまますぐに進学をする人、浪人をして進学する人もいます。そのため、新卒の履歴書の学歴として記入する際は、中学校卒業からのタイミングで書くとよいでしょう。
中学卒業の年月、高等専門学校や高等学校などの進学先に入学した年月を書き、卒業年月、その後の進学先などを順に書きます。
いずれの場合も「入学」と「卒業」の両方の年月を、忘れずに書くようにしましょう。最終学歴が大学院の場合は、「卒業」ではなく、「修了」と書くので、間違えないようにしましょう。
進学先に複数の学科がある場合は、高校・大学にかかわらず、学部、学科、コース名などの詳細も記載しておきます。
もしも専攻や研究、卒論のテーマなどが、志望先企業、または志望職種と関連がある場合は、忘れずに記載しましょう。スキルのアピールとなり、企業に好印象を持ってもらえます。
転職は義務教育は書かずに高校から
新卒の場合は中学卒業のタイミングと書きましたが、転職の場合はもう少し遅く、高校入学のタイミングからで問題ありません。書き方に関しては、新卒の時と同じく、時系列に従ってそれぞれの年月を記入していきます。
入学・卒業または修了のタイミングを「平成○○年 〇月 ○○市立 ○○高等学校 入学」または「卒業」などと順に記入します。浪人の予備校などは学歴には値しないので、記入しません。
転職の際は、学歴欄と同じぐらい職歴欄が多いこともあります。そのため、浪人期間があっても問題ないという判断から必要ないとされるのです。また、転職では、新卒程学歴が重視されていないことも、高校入学のタイミングで問題ないとされる理由の1つです。
学籍の書き方
学籍とは、「学生や生徒としてその学校に所属することを示す籍」*です。つまり、在学中は大学に学籍があることになります。しかし、何らかの理由により、学籍を取り消されてしまうこともあります。
例えば、退学や除籍です。まず、退学と除籍の違いについて説明します。退学は自主的に大学を辞めることで、願い出を大学が許可することにより認められます。除籍は特定の事情により、大学側が学生を辞めさせるものです。
退学の場合は、在籍期間中の証明書や、在学中の成績に関する証明書は発行してもらうことが可能ですが、除籍の場合は、各種証明書が発行してもらえない場合もあります。
「除籍」というのは「退学」と比べると、イメージがよくないため、できるなら除籍の事実を隠したい、と思うかもしれません。しかし、後から企業にばれて内定取り消しという事態は避けたいものです。証明書が提出できないとその可能性が高くなるので、やはり最初から「退学」「除籍」と、それぞれ正直に書いておくほうがよいでしょう。
*参照:https://kotobank.jp/word/%E5%AD%A6%E7%B1%8D-460442
西暦か元号は統一させる
履歴書に限りませんが、同じ文書の中で西暦や元号が混在していると、読み手は時系列が分からなくなります。そのため、履歴書の学歴欄の元号は、統一するようにします。西暦・元号のどちらを選んでも問題ありません。業界や企業によっては西暦を使うことのほうが多いこともあるため、志望先によって変えてもよいですし、西暦で統一すれば2種類作る手間が省けます。
元号を使う場合は、西暦より注意が必要です。令和になり、平成・令和と2つの元号を使うこととなり、混乱する人が多くなっています。
記入のときには、くれぐれも元号と年に気を付けて、何度も確認してから書くようにしましょう。西暦と元号の対象早見表や自動計算表などがあるので、利用してみるのもよいでしょう。
また、元号で書く際は「H25年」などと略さず、「平成25年」と、きちんと元号名を書くようにしましょう。
学校名は略さずに記載する
履歴書は公文書扱いになります。そのため、全てを正式名称で書く必要があります。学歴で意外と間違いがちなのが「高校」です。「高等学校」が正式名称ですので、きちんと書きましょう。「短大」は「短期大学」となります。また「○○市立」「国立○○中学校」などと、学校名の正式名称も書く必要があります。また、通称名が広く知られている大学などでも、必ず正式名称で書くようにします。
「公式な書類には公式な表記」がルールです。うっかりと省略形で書いてしまわないように注意しましょう。
履歴書への浪人・留年の書き方
浪人や留年といったことを、書くのには抵抗がある、履歴書に書きたくないという就活生もいます。しかし、それも学歴のうちなので、書かないわけにはいきません。
浪人は書く必要がありませんが、留年は書かなければなりません。留年のイメージが悪いかもしれませんが、理由によっては悪い影響にはなりません。
例えば、入試の日に体調不良で入試が万全の体調で受けられずに浪人した、ケガで入院して留年したなど、自分でどうすることもできない理由もあります。また、経済的理由なども、自分一人で解決できる問題ではないので、マイナスとはなりません。交換留学でない場合、1年間など長期の留学のためには留年の必要がありますが、そういった留年はプラスイメージを持ってもらうこともできます。
逆に、勉強不足で浪人したり留年したりすることは、あまりよいイメージを思ってもらえません。不登校や、さぼりのせいの留年も同じです。そのため、そういったケースでは正直に理由を書くのではなく「進路再考」などと言い換えたほうがよいでしょう。
病気や家庭の持病など特別な理由の場合は備考欄に書く
病気やケガ、家庭の事情など、やむを得ない特別な事情がある場合、浪人や留年の理由は備考欄に書くとよいでしょう。学歴欄には最小限の情報のみにして、備考欄に「○○の治療のため。現在完治。」などと補足情報を書くのです。プラスイメージかマイナスイメージかは、企業の方針や採用担当者の選考方法など、様々な基準によっても変わります。
「うそはつかない」「理由は簡潔に」を基本に、正直に理由を書いたほうが、面接で深堀りされずにすみます。隠して後から追及されるよりも、最初から自分から情報提供してしまったほうが気が楽です。
履歴書では正確な情報提供が求められます。正しい情報で、企業の疑問や不安を解消することが、大切だと言えるでしょう。
履歴書への休学・中退の書き方
休学や中退の理由は様々です。しかし、全般的に企業はあまりよいイメージを持っていないものです。そのため、そのマイナスイメージを払拭できるような理由を履歴書に書くことによって、イメージを変えてもらえればよいわけです。悪いイメージを持っている企業のイメージを良くするためには、「理由」を説明することです。
なぜ、企業は中退や休学をあまりよく思わないかというと、業務に支障が出るのでは、と考えるからです。それならば、業務に支障がないことを説明できればよいのです。
理由によっては、休学や中退はできれば履歴書に書きたくないと思うかもしれませんが、書かないことは避けなければなりません。嘘はいけませんが、同じ内容でも書き方によっては受け取り方も違うのだと覚えておきましょう。
休学は休学理由も記載
休学の理由には、主に病気やケガ・家庭の事情・留学などが考えられます。正当な理由があって休学したわけですから、隠す必要はありません。入学欄の後に、休学年月を書き、次の行に休学の理由を書きます。詳細までは書く必要がありませんが、「留学のため」「病気療養のため」などと簡潔に書きましょう。
留学のための休学の場合、留学先の大学名も書くとよいでしょう。その際は、日本の大学と同じように、大学の正式名称と学部学科専攻などを書きます。日本で知られている大学名であれば、日本で馴染のある表記方法に従うことも可能です。
病気療養の場合は、その病気が完治しているのかを書くようにします。企業は業務に支障があるかどうかが知りたいため、この情報は必須です。
中退は「中途退学」と記載後に理由を記載
大学などを中退した場合、履歴書に書きたくないと思うこともあるでしょう。しかし、中退を学歴として記載しないことは、学歴詐称と見なされてしまいます。もしも内定後に中退が発覚し、内定取り消しとなるぐらいなら、最初から隠さず書いてしまったほうが安心です。入学年月の後の中退年月を正直に書きましょう。
自己都合によるものならば、理由として「一身上の都合による」と記載するだけでも問題ありません。もしも、家庭の事情、経済的事情であれば、その旨を記入してもよいでしょう。マイナスイメージを払拭するためには、前向きなイメージを持ってもらえるような書き方をすることがポイントです。
企業は業務への影響も踏まえて判断する必要がある
企業が「中退」と聞いて受けるイメージは、一般的に良いものではありません。企業によっては、大学に入っていたことを考慮してくれる場合もありますが、そうでない場合は高卒扱いになる可能性もあります。また、病気による退学であれば、業務に支障をきたすのではないか、とマイナスイメージを持たれてしまいます。
しかし「進学先を変えるため」「親が亡くなり、経済的問題のため」などの理由であれば、問題とならないケースも考えられます。
「業務に支障をきたさないか」「仕事を途中で投げ出さないか」のポイントがクリアできれば、中退であることはマイナスポイントとはならないのです。同じ理由の説明でも、「業務には支障はありません」とアピールできる書き方にすると、企業としては安心できます。
理由の説明にはひと工夫して、中退による影響がないことを前面に出せるようにしましょう。
履歴書への転校・留学の書き方
転校や留学は少し独自のルールがあります。他の学歴欄の書き方とは少し違うので、注意しましょう。まず、転校する際ですが、学歴欄に記載します。Aという高校に入学した後、Bという高校に転校する場合、「転入学」という表記方法になります。大学では「編入学」という言葉を使います。最初の高校や大学の次の行に、転入学した学校または編入学した大学名を書くことがポイントです。
留学は、交換留学の場合を除き記載します。学歴欄に、大学名、学部名、学科名、専攻など詳しく書き、時期と期間も明記します。
また、交換留学や語学留学は留学先の大学の単位が取れないため、本当の留学ではありません。そのため、どちらも学歴欄には記載せず、代わりに備考欄に書きましょう。
語学留学は「語学研修」と言うほうが正確でしょう。交換留学も留年する必要がなく、在籍している日本の学校との単位認定提携をしているため、必ず「交換留学」と書きます。
履歴書の学歴を書く際の注意点
履歴書は、読み手のことを考えて書くことが重要です。そのため、読みやすい丁寧な字で書くことはもちろん、見やすい筆記用具を使う、スペースの取り方、学歴・個人情報の書き方、学歴詐称をしないなどの、決められたルールを守ることが大切です。学歴を書く際は、まず1行に目「学歴」と書いてから、2行目から年月と学歴を書き始めます。
職歴に関しても同じ書き方をします。新卒で、職歴が何もない場合でも、学歴の下に1行空けてから「職歴」と書き、「なし」と書くので注意してください。
学歴のみ、学歴と職歴の両方がある場合いずれも、履歴の一番最後に「現在に至る」と書き、次の行に「以上」と書きます。それまでは左寄せで記入していましたが、「以上」だけは右端揃えするよう気をつけましょう。
ルールを守って丁寧に書いた履歴書は、好感を持ってもらえるので、是非ともテクニックを身につけたいものです。
こちらでは、見やすい履歴書を書くための方法をご紹介します。
黒のボールペンを使う
学歴欄に限らず、履歴書を手書きする場合は黒のボールペンを使うようにしましょう。太さは「0.5mm~0.7mm」が適当です。0.5mmは細かい文字を書く人向け、字の大き目な人は0.7mmを使うとよいでしょう。人気があるのはゲルインクのボールペンです。滑らかな書き味と、発色の良さなどで使い勝手がよいためです。
履歴書の記入には、こすると消えるタイプのボールペンは避けるようにします。大切な情報が簡単に消えてしまっては困ります。正式な文書を書く際に、消えるタイプのボールペンを使用するのは避けるのがマナーです。
また、万年筆や水性ペンは滲みやすいため、控えたほうがよいでしょう。
最近ではパソコンで履歴書を作成してプリントアウトの履歴書を就活生も増えてきています。
しかし、手書きで書く人もまだまだいます。普段は印刷したものを使う就活生でも、エントリーシートの学歴欄などに手書きをする場合もあるでしょう。上記の情報を参考に、自分にぴったりのボールペンを選んでください。
相手が見やすいように丁寧な字で書く
履歴書に書く文字は、誰が見ても判読できるよう丁寧に書く必要があります。もちろん字のきれい汚いは変えることは簡単ではありませんが、どんなに達筆でも読めなければ意味がありません。そのため、たとえ自分の字はきれいだという自負のある場合も、相手にとって読みやすい字かどうかを常に気を付けるようにしましょう。もちろん、字があまり上手でないというコンプレックスのある人も、少しでも読み手が読みやすいよう、丁寧に心を込めて書くようにしたいものです。
癖字のある人は、できるだけ読みやすいように書く癖を日頃からつけるようにすると、履歴書の時に焦らずに済みます。
丁寧に書いていれば、相手にも伝わります。字の書き方から人となりが垣間見えるからです。また、字の丁寧さは入社意欲の高さとも取れます。そのため採用担当者は、たとえ達筆でなくても丁寧に書いた履歴書に好感を持つのです。
間隔にばらつきがないように心配なときは下書きする
履歴書の中でもスペースの大きい学歴欄は、履歴書全体のイメージを決めるとも言えます。そのため、バランスよく文字が配置されていることは、文字の丁寧さと同じぐらい第一印象を左右します。一文字一文字は丁寧でも、全体を見るとアンバランスで、「なんだかおかしい」と思うことがあります。
そんなときは鉛筆で下書きをしてから、ボールペンで清書をし、後から下書きを消すということで解決できます。そのほかにも、鉛筆で縦線を引くことによりマス目を作るということでも、縦の文字列の間隔がバラバラになることを防げます。縦と横がそろうだけでも見やすくなります。
鉛筆の下書きを消す際には、消しゴムを使用しますが、その際にインクだまりで紙を汚したりしないよう、注意しながら消すようにしましょう。