小売業が好きな方やビジネスが好きな方にとって、就職活動の際に要チェックな業界は、商社業界でしょう。
就活生の中でも憧れを抱く志望者が多く、業務内容をイメージしやすいように感じる商社業界ですが、本当に欲しい実際の業務内容や評価制度、業界の裏話などは、調べることは難しいです。
そこで今回は、実際に商社業界で働く方にアンケートをしてみて分かった、リアルな内容をお届けします。
アンケート概要
- 調査期間:2019/5/20-2019/7/17
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:商社業界で働いた経験のある社会人歴15年目未満の男女
商社業界とは
日本の物流・貿易・経済を支え、大規模な商流を生み出している商社の企業たち。
高待遇や給与に加えて日本を代表する企業群であるため、何十年も前から花形業界として名高く、新卒市場においても、多くの学生に志望される大人気の業界と言えるのではないでしょうか。
商社の基本的な業務内容としては、幅広い分野において原料や加工品・サービスなどの商材を扱って、売りたい相手と買いたい相手を結び付けるビジネスの仲介をすることや、新しい貿易・取引のために物流・インフラネットワークを生み出すプロジェクトを運営することが挙げられます。
またこうしたビジネスを国内だけに限らず、海外、特に発展途上国などで行なっていくことも商社の特徴であると言われており、赴任や出張が多いことは商社マンの宿命として捉えられえているようです。
主な分野
商社業界を主な分野で分けると、総合商社と専門商社の2つに分けられます。
総合商社は、三菱商事・伊藤忠商事・丸紅・三井物産などが代表的な企業として挙げられる分野であり、その名の通り総合的にあらゆる分野・サービスを取り扱ってビジネスを行う分野です。
国内だけでなく、世界のあらゆる場所で仲介・卸売を行なっている他、新たなビジネス機会創出のために物流・インフラ整備や法律などにも関わって、様々な機会を作り出しているのが特徴と言えますね。
一方の専門商社は、特定の商材・サービスに特化してビジネスを行なっている商社群のことを指すものであり、伊藤忠丸紅鉄鋼やメタルワンなどの企業が入る分野となっています。
強みとしては、特定の商材に特化している分、該当の領域で高い専門性や競合優位性を持っていることであり、分野によっては総合商社をも上回る売り上げや影響力を持っている企業もあるようです。
主な職種
商社業界にはどのような職種があり、それぞれの業務内容・役割はどのようなものとなっているのでしょうか。実際に寄せられたアンケートを元にご紹介します。
- 営業
- 事業企画
- 経理・一般事務
商社の中で一番オーソドックスと言える職種が営業です。
営業職は、様々な取引先企業の元を訪れて契約を締結する他、円滑なビジネスのために多くの業務をこなします。
企画職は、新しいビジネスチャンスの創出や立ち上げのために企画を立案し、関係者を巻き込みながらビジネスをしていく職種です。
また、商社では発生する事務手続きや経費精算も多いため、一般事務職に就く方も多いでしょう。
商社業界の市況や特徴
商社業界は、非常に大規模かつダイナミックな商流のもとでビジネスを行なっているため、日本全体の景気感や政治問題などに影響を受けるという意味で、今後の予測が難しい業界の1つでもあります。
商社の現状として言えることとしては、かつてのバブル期やその後の時代ほどの圧倒的な影響力は徐々になくなってきており、今後様々な形でビジネスを変えていく予想がされているということです。
商社の大きな収入源であった鉄鋼や原油などの資源ビジネスは、難しい貿易環境や地球環境問題の中で停滞しつつあり、今後どうなっていくかが注目される分野の一つでもありますね。
かつては花形のビジネスマンであり、就職先として圧倒的な人気を誇っていた商社ですが、今後の動向に関してはそれぞれ企業ごとにチェックが必要かもしれません。
ポートフォリオ・マネジメント
ポートフォリオとは、企業が手がけているビジネスの一覧・バランスを指すものであり、景気やトレンドに合わせてポートフォリオを調整しながら組み替えていくことは、商社の大切な考え方の1つとなっています。
例えば、原油などの資源ビジネスに関してはこれまで大きな収益を上げていたため、ポートフォリオの中でも大きな比率を占めていましたが、政治情勢の不安定さや原油価格の不安定さを見ると、今後はその比率を地域ごとに考えていかなければならない時期かもしれません。
また一方で、近年では食品や医療ビジネスに関してはある種のトレンドが来ており、注力すべき分野として注目がされています。
時代の流れに合わせてポートフォリオを上手く組み替えていけるかが、商社が生き残っていくための大切なポイントとなっているのです。
AIやIoTへの投資
近年注目されているAIやIoTなどのテクノロジー分野への波は、商社業界にも同様に取り入れられています。
莫大なキャッシュと影響力を持っている商社は。テクノロジーに関して自社で開発するというケースは少ないものの、ベンチャー企業への投資や子会社化などを通してIT・テクノロジー分野に参画して、新たなビジネスを生み出していくでしょう。
例としては、2017年に三井物産が日立製作所などとともに行なった、AI関連の研究開発・事業で先進的な取り組みを行うスタートアップ企業(プリファード・ネットワークス)への出資などがあげられますが、今後はIT・テクノロジーの分野に対するアンテナや影響力の強さも、商社が勢いを持つために必要な分野かもしれませんね。
専門商社の海外進出
少子高齢化などで伸び悩んでいる日本市場を見据えて、近年では専門商社の海外進出のトレンドが進んでいます。
かつては、資源・原材料の仕入先としてしか考えられていなかった発展途上国などに関しても、これからは大きな市場として捉えられ、商社をはじめとした日本企業の参入が進んでいくかもしれません。
注目されている分野としては食品や医療があげられ、一例としては医薬品の専門商社が外国で病院の経営管理を支援するといったケースや、現地の食品メーカーを買収して協働でビジネスを行うといったケースもあるようです。
日本だけでなく、いかに海外で成功を収めることができるかも、商社の今後を左右する重要なキーポイントかもしれませんね。
実録!商社業界の中の人が語るホンネ
Q1.その業界で働いてみて、入社前(その業界に入る前)とのギャップはありますか?
- 特にない。初めて入った会社なので、それが基盤となった。しっかりした会社だなと言う印象だった。新人教育に1ヶ月を費やし、社会人としてのマナーを一から教えてくれる会社だった。(社会人歴14年目/上級アシスタント/経理事務/総合商社)
- 従業員たちの人間関係の深さ、言い方のきつさ、営業という仕事の大変さ、配達するときの商品を扱う時の大変さ。重いものを持つときの大変さ。そういうところにギャップを感じました。(社会人歴9年目/一般社員/営業職/専門商社)
商社という仕事は比較的イメージがつきやすいため、あまり業務内容についてギャップを感じる方は少ないのかもしれません。
一方で人と人の繋がりなどに関しては、想像以上に強かったという声も聞かれました。
Q2.その仕事をしていて楽しい/うれしい/やりがいを感じるときはどのようなときですか?
- 自分が関わった商材が世に出たとき(社会人歴9年目/主任/営業職/総合商社)
- 経理事務だったので、金額が合わないときに合わせることができた時の達成感があった。後輩も入ってきたので、先輩としての指導や教育やコミュニケーションも大事だなと考えてやりがいを感じていた。上司からの指示で、頼みますと言われるのが責任があってより頑張ろうと言う気持ちになった。(社会人歴14年目/上級アシスタント/経理事務/総合商社)
- 自分のアイデアやマーケティング、世の中のトレンドをいち早く取り込む事で、自分が描いた理想が商品として形作られていく所です。また、その商品が世の中のトレンドとなった時には言葉では言い表せない達成感があると思います。(社会人歴9年目/一般社員/営業職/専門商社)
大きな規模でビジネスに携わることができるため、自分の関わった商品をよく目にする機会があるということは、非常に大きなモチベーションとなるでしょう。
Q3.評価や昇進はどのように行われますか?
- 目標への達成度(社会人歴9年目/主任/営業職/総合商社)
- 年功序列だった。事務職だったので実力主義ではない。評価決定の理由などの面談や説明は特にないので、明細をもらうだけで、今後の仕事のやり方やこうしてほしいなどの上司からの指示や見直しなどはなかったので、向上心はなかった。(社会人歴14年目/上級アシスタント/経理事務/総合商社)
- 実力主義である事は間違いありませんが、企画力やプレゼン力等が必要となり、やはり人生経験が豊富な先輩方の方が昇進はしやすいかと思います。また、過去実績や職務経験なども審査基準となります。(社会人歴9年目/一般社員/営業職/専門商社)
“年功序列”のイメージが強い商社業界ですが、実際のところは企業や部署によるところも大きいのかもしれません。
比較的実力主義な部分もあるようですので、企業ごとに特徴を捉えることが大切ですね。
Q4.その業種にはどのような人が向いていると思いますか?
- 主体的に新しい商売を探せる人(社会人歴9年目/主任/営業職/総合商社)
- コミュニケーションが取れる人。周りとの連携や、上司や先輩からの指示にそのまま従って業務を遂行する人の方が向いていると思う。周りの部署との連携が取れる人の方がいいと思う。(社会人歴14年目/上級アシスタント/経理事務/総合商社)
- 企画力がある人。目標を設定し、コンスタントに仕事に取り組める人。先見性という言葉はあまり好きではありませんが、まさに先見性が必要であると思います。新聞や雑誌等からいち早く世の中のトレンドに興味を持ち、自分に吸収出来る人。(社会人歴9年目/一般社員/営業職/専門商社)
どのようなものでもビジネスチャンスとして捉え、自らのビジネスに活かすような姿勢は、商社で働くためには必要なのかもしれません。
一方で、ある程度上司や取引先と上手くやれる人間関係構築能力も必要でしょう。
Q5.あなたの働く会社はブラックだと思いますか?ホワイトだと思いますか?
- ややホワイト。ワークライフバランスが取れるから。(社会人歴9年目/主任/営業職/総合商社)
- ホワイト。100年以上続く老舗の会社で、経営者も社員も人望も厚く、就業規則からもまじめに取り組む会社だから。(社会人歴14年目/上級アシスタント/経理事務/総合商社)
- どちらともいえない。いくら業務に時間を割き、努力したとしても、企画と提案が全ての仕事であり、結果が全て自分の成果へと繋がります。その事から、結果を出せない方にとっては、仕事量と稼ぎが反比例してしまうと思うからです。(社会人歴9年目/一般社員/営業職/専門商社)
商社というと、激務を想像する方も多いかもしれませんが、就業規則やワークライフバランスを重視する流れが来ているようです。
一方でしっかりと成果をあげなければ報われないという厳しさも、商社ならではと言えるのではないでしょうか。
Q6.あなたの働く会社や業界はパワハラはセクハラなどはありますか?
- 聞こえてこない。(社会人歴9年目/主任/営業職/総合商社)
- パワハラがある上司がいない。冗談を言う上司がいても、プレッシャーを与えるような言い方もないし、セクハラみたいな発言もしない。業界は分からないが、私が働く会社ではなかったと思う。(社会人歴14年目/上級アシスタント/経理事務/総合商社)
- 会社での飲み会などでお酒を飲まなかったのに対して、俺が飲んでいるのにどうしてお前は飲まないんだと、俺と酒が飲みたくないのかなどと言われたことがある。
仕事が終わっているので帰ろうとしたら、先輩に「どうしてあれで帰れると思っているのかわからない、あいつ自分の立場をわかっているのか」などと言われたことがある。(社会人歴9年目/一般社員/営業職/専門商社)
基本的にはパワハラ・セクハラということはないものの、人間関係や上司によっては一部存在する企業もあるようです。
企業の雰囲気にもよるところは大きいかと思いますので、入社前にしっかり先輩やOBに聞けると良いですね。
Q7.業界ならではの風習やタブーなどはありますか?
- 月に一回おやつを食べる日がある。毎度新人は、地元のお祭りに参加する。女子によるお茶くみがある。朝礼は基本、出張がない限り全員参加。社員も交代で宿直がある。自分でトイレや給湯室の掃除をする。新人が部署の机掃除を朝する。(社会人歴14年目/上級アシスタント/経理事務/総合商社)
- 風習は特にありませんが、海外との取引が多く、国によっては時間に大らかな取引先も多い為、日本での時間に正確な仕事になれている方だと、はじめの方は戸惑ってしまう事も多々あると思います。(社会人歴9年目/一般社員/営業職/専門商社)
「人との繋がりを大切にする。」、「海外との取引が多い。」という特徴から生まれる文化・習慣が多いことが分かります。
企業の取引や事業内容を見てみると、何となく雰囲気が分かるかもしれませんね。
まとめ
以上が商社業界に関する分野や職種・今後のトレンド紹介と、実際に働く人による本音口コミのご紹介です。
就活生の行きたい企業ランキングで常に上位を占める商社業界ですが、総合商社や専門商社によっても雰囲気は異なりますし、働く職種によっても大きな違いがあることがお分かりいただけたでしょう。
また実際に働いている人たちの声を聞くことで商社独特の厳しさとやりがい、更には給与や評価などのWebにはなかなか載っていない情報が理解できたかと思います。
実際に働いている人だから分かるリアルな部分を参考にしながら、自身の就活の軸やキャリアプランと商社でのキャリアを照らし合わせ、ミスマッチの無い就職活動が出来ると良いですね。
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