広告業界のホンネ!実際に働く人に聞いた業界の裏側

本コンテンツは独自に制作していますが、一部にサービス提供企業等から広告料および送客手数料を受領しているPR情報が含まれています。

就職活動の初期はどんな業界が面白そうか、業界研究に時間を費やす人も多いのではないでしょうか?でも、WEB上で見られる情報や企業説明会では本当の姿は見えづらいもの。

本シリーズでは、実際に働く人にアンケート調査を行い業界の本当の姿をまとめています。今回は広告業界で実際に働く人にアンケートを行いました。

アンケート概要

  • 調査期間:2019/5/20-2019/5/23
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:広告業界で働いた経験のある社会人歴15年目未満の男女

広告業界とは

広告業界と聞くと新聞やテレビなどのマスメディア広告を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、交通広告や野外広告、インターネット広告など種類は多岐にわたります。

電通「日本の広告費」の調査によると市場規模は6兆5,300億円と大変大きな市場であるといえます。

その中でもインターネット広告市場は1兆7,589億円(前年比116.5%)と5年連続の二桁成長となりました。広告業界ではマスメディア広告を中心に広告費が減少傾向のものも多くインターネット広告市場の成長は特徴的だといえます。

広告代理店の種類

広告業界と聞くとまず頭に浮かぶのは広告代理店かもしれません。広告代理店とは、広告主に代わって広告のプランニングや制作物の制作管理、メディアとの調整を行う会社です。一口に広告代理店といってもいくつかの種類があります。

総合広告代理店

一般的に広告を出したいと思った時にまず一番最初に思い浮かべるのは総合広告代理店かもしれません。

総合広告代理店はマス広告や屋外広告などあらゆる種類の広告を取り扱っており、広告を出したいと思う広告主のニーズや予算によって広告商材を組み合わせて提案することができます。

代表的な企業は株式会社電通、株式会社博報堂、株式会社ADKホールディングスなどが挙げられます。

専門広告代理店

専門広告代理店は特定のメディアに特化した広告代理店です。例えば広告主が新聞広告を出したい、インターネット広告が出したいというニーズが出た場合に、その領域に特化した広告代理店に依頼をすることがあります。

新聞広告では株式会社日本経済広告社、インターネット広告では株式会社サイバーエージェントなどが挙げられます。

また、近年では特定の業務に特化した広告代理店も出始めています。例えば求人広告に特化した広告代理店、リサーチに特化した広告代理店などがこの種類に入ります。

ハウスエージェンシー

ハウスエージェンシーとは、特定の企業の広告を取り扱う広告代理店で、大企業の広告宣伝部が独立して関連会社になるようなケースが多いです。

特定の企業の広告を取り扱うことがほとんどで、トヨタ自動車の広告を扱う株式会社デルフィス、JR東日本の広告を取り扱う株式会社ジェイアール東日本企画などが代表的です。ただ、近年はハウスエージェンシーが総合広告代理店の立ち位置を担うケースなどもでてきています。

こちらは株式会社東急エージェンシーなどが代表的です。

主な職種

広告業界の主な職種には以下のようなものがあります。

営業

クライアントの窓口として、ニーズに合った広告の提案/営業を行う仕事です。また、プロジェクトに合わせて社内外の関係者を調整しクライアントが求めている広告を作り出す調整役でもあります。

大企業になると、営業の役割を分割して、アカウントプランナー、プロデューサーなどとすることもありますが、窓口から予算やプロジェクトのマネジメントまでを営業が担う会社もあります。

マーケティング

プロジェクトに関連した業界や商品の周辺情報、ユーザーニーズなどを調査し、広告戦略に役立てる仕事です。

ただ広告を出しても的外れでターゲットに刺さらない広告をだしても意味がなくなってしまいますから調査は重要な仕事だといえます。リサーチ業務などは自社で行わずリサーチに特化した会社に依頼をすることが多いです。

クリエイティブディレクター

クリエイティブ全体の責任者です。例えばデザインやコピーなど複数の要素を組み合わせてクリエイティブは作られますが、そういったすべてのバランスをとり、世界観を作り上げる仕事です。

営業と一緒にプロジェクトの初めから参加しクリエイティブの指揮を執ることも多いでしょう。アートディレクターやコピーディレクターなど特定の領域のディレクターを束ねる部長クラスレイヤーとして扱っている会社もあります。

広告業界の市況や特徴

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インターネット広告の成長

広告業界全体を見ると主にマスメディア広告の売り上げが減少傾向にあります。ただ、その分の広告予算をインターネット広告に投下する企業が増えてきており、インターネット広告の成長は目覚ましいものがあります。

特に近年はスマートフォンの普及や通信速度の向上で動画広告などが発展し表現の方法も増えています。5Gスタートで通信速度がより向上することでさらなる進化が期待できるでしょう。

リアルとデジタルが融合し、クロスメディア戦略をとるように

表現の仕方が増えたことでより多角的にユーザーに対して訴求できるようになってきました。それに伴い様々な媒体を駆使してより効果的にユーザーに訴求する、「クロスメディア戦略」が主流になってきました。

例えばマスメディア広告で認知拡大を図った後インターネット広告でユーザー獲得を狙う、マスメディア広告で広く認知を狙った後、イベントを開催し体験してもらうなど広告戦略の幅が広がってきています。

業界の競争激化

近年インターネット広告の市場が伸びていることでインターネット広告代理店が著しく成長してきています。

またアクセンチュアなどの大手戦略コンサルティングファームがクリエイティブに強い会社を買収することで広告業界に参入してきており、広告業界のバランスも変化してきています。

大手コンサルティングファームは戦略やテクノロジーに強い会社が多いので、経営戦略よりな視点から広告宣伝を企画することができます。

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実録!広告業界の中の人が語るホンネ

ここからは広告業界で実際に働いていた経験のある方へのアンケート調査をもとにどのような業界なのかをご紹介します。

Q1.その業界で働いてみて、入社前(その業界に入る前)とのギャップはありますか?

クリエティブな提案をする仕事だと思っていましたが、実際は営業については付き合いが重要な仕事だと感じました。(社会人歴12年目/一般職員/営業/専門広告代理店)

デザイン事務所ではなく、広告代理店のデザインのため、デザインの制約や締め切りが多いとギャップを感じました。また、デザイン以外の業務量が多いです。(社会人歴5年目/一般職員/デザイナー/専門広告代理店)

思ったよりも裏方作業が、多く調整の連続。(社会人歴12年目/一般職員/営業/総合広告代理店)

広告代理店というとクリエイティブな仕事で好きなものを作れる、という印象を持っている方がいるかと思いますが実際は広告主ありきで仕事が進むため、調整が多かったり制約がある、という回答をしている方が多い印象でした。

Q2.その仕事をしていて楽しい/うれしい/やりがいを感じるときはどのようなときですか?

自分が作ったデザインやキャッチコピーで実際に反響があったときです。(社会人歴15年目/一般職員/広告制作/専門広告代理店)

1つのものを売りつけるのではなく、実際にお客様の声を聞きそれに対して商品をオススメしご契約をいただくことが嬉しいのは勿論ですがご契約後に契約したから会社が大きくなった、売り上げが上がった、問題が解決したなど何か役に立ててそれを声でもらう時が一番やりがいを感じます。(社会人歴3年目/主任/広告営業/専門広告代理店)

作成した広告の反響がよく、クライアントさまに満足していただけたとき(社会人歴5年目/一般職員/デザイナー/専門広告代理店)

自分が作ったデザインやキャッチコピーで実際に反響があったときです。(社会人歴15年目/一般職員/広告制作/専門広告代理店)

広告主が満足してくれたとき、という回答が圧倒的に多く、広告主の売上増や反響の量をやりがいと感じているようでした。自分のかかわったプロジェクトが広告主のビジネスに影響を与えるというのは責任重大ですが達成感もありそうです。

Q3.評価や昇進はどのように行われますか?

基本的には予算達成をしているかどうかですが役職席の空き状況や会社の運営都合もあるので一概に達成だけでの昇進は難しいです。(社会人歴3年目/主任/広告営業/専門広告代理店)

年功序列で少し上がりますが、基本は営業成績を上げるかマネージャー等の役職につかないと上がった実感はあまりないかと思います。(社会人歴6年目/一般職員/営業事務/専門広告代理店)

自分の頑張り次第や過去の成績など(社会人歴5年目/一般職員/DTPオペレーター/制作会社)

年功序列、役職の空き次第といった回答が多く明確な評価基準があるという回答が少ない印象でした。営業職は目標予算の達成が一つの基準となっている場合が多いようです。

Q4.その業種にはどのような人が向いていると思いますか?

他部署の人と連携が必須になるため、コミュニケーションスキルや提案力もある人、気配りができる人が向いていると思います。(社会人歴5年目/一般職員/デザイナー/専門広告代理店)

非対面営業のため高いコミュニケーション能力(社会人歴8年目/一般職員/広告営業/専門広告代理店)

バイタリティ溢れる人。奇抜なアイデアや考えができる人。(社会人歴12年目/一般職員/営業/総合広告代理店)

営業、非営業問わずコミュニケーション能力が高いことを挙げる方が多かったです。広告業界は関係者とチームとして働くことも多く、コミュニケーションが重要とされているようです。また、バイタリティや発想の豊かさを回答する方も多くいました。

Q5.あなたの働く会社はブラックだと思いますか?ホワイトだと思いますか?

【ややホワイト】基本的にここ最近は特に残業時間への取り締まりが厳しくなり時間内にいかに仕事を終え残業を減らすかという思考になってます。また、給与面でも基本的にはやったらやった分だけ還元してくれるシステムにはなっていますので稼ぎやすい環境ではあります。もちろん他企業よりはベースの給与も高めです。(社会人歴3年目/主任/広告営業/専門広告代理店)

【ホワイト】有給もきちんと取れる(社会人歴5年目/一般社員/DTPオペレーター/制作会社)

【ややブラック】お客様の納期が迫っているときに、サービス残業がある。(社会人歴3年目/一般社員/デザイナー/印刷会社)

想定していたよりもホワイトという回答が多い印象でした。最近は残業時間の規制がしっかりしてきており、会社としての取り組みも進んできているようです。

有給休暇もとれるという回答も目立ちました。ただ、やはり広告主への納期がある仕事であることから、企業によっては残業が多いという回答もあり場合によってはサービス残業もあるようです。

Q6.あなたの働く会社や業界はパワハラはセクハラなどはありますか?

【ある】昭和の体育会系のノリというものが残っています。一発芸や過激なイジリも許容できないとノリが悪いという風潮があり、まさにパワハラです。(社会人歴15年目/一般職員/広告制作/専門広告代理店)

【ある】睨み付けられたり、上司の軽はずみな言動があるから。(社会人歴3年目/一般社員/デザイナー/印刷会社)

【ない】上部から非常に厳しく管理されているので(社会人歴9年目/一般職員/営業/専門広告代理店)

ゲキが飛ぶ、睨みつけられるといった明らかにパワハラと感じられる回答が目立ちました。業界的にパワハラが少なくないのかもしれません。

また、ないと回答した方は会社として厳しく管理されているといったようなパワハラが発生しないしくみ作りをしているという回答もありました。

Q8.業界ならではの風習やタブーなどはありますか?

飲み会でコールなどがある、社内用語が多い(社会人歴8年目/一般職員/広告営業/専門広告代理店)

新入社員は一発芸を求められます。(社会人歴15年目/一般職員/広告制作/専門広告代理店)

朝礼、挨拶の仕方、テレアポのやり方などなど初め入社する方は最初は度肝を抜かれる感じがしてます。(社会人歴3年目/主任/広告営業/専門広告代理店)

圧倒的に飲み会に関連した回答が多いのが特徴的でした。体育会的ノリという表現も多数あり、良くも悪くもまさにメディアで取り上げられている広告業界といった印象です。

飲み会は参加が必須のところもあるようで、そういった場が苦手な人にとってはつらい部分もあるかもしれません。

広告業界はコミュニケーション能力必須!

広告業界は、チームで仕事をすることが多いためコミュニケーション能力が高い人が求められているようです。また、飲み会が多い、体育会的ノリという回答も多くそういった雰囲気が好きな人にはあっている業界かもしれません。

想定していたよりも残業に対しては少ない、定時で帰れるという回答も多く、健全な環境になってきているようでした。