就職活動を始めると、「自己分析をして、キャリアプランを決めよう」「10年後にやりたい仕事を明確にしよう」「軸を決めよう」とリクナビやマイナビ、その他就活本から強要されます。
確かに、就職活動で「10年後にやりたいことはなんですか?」と聞かれる以上、その回答は用意する必要があります。だから、とりあえず仮決めで「この会社に入るとしたら、こんなことをやってみたい」程度には、やりたいことを決めておく必要はあります。
ただ、その「やりたいこと」は本当にやりたいことである必要はなく、「仮決め」レベルで構いません。
キャリアは偶然が支配する
厳密な「やりたいこと」を決めすぎると、かえって人生の幅を狭め、キャリアを失敗に導きます。なぜなら、キャリアは思うようにならないものだからです。私たちのキャリアは偶然によって支配されているのです。
キャリアは偶然によって左右される、と指摘したのは、スタンフォード大学の心理学教授、クランボルツです。彼によれば、アメリカ人のうち、2%しか18歳の時に予想した仕事についている人はいません。98%は思いがけない仕事についているのです。
アメリカは、大学で学ぶ知識が就職に直結しますから、本来なら予想しやすいはずです。しかし、2パーセントしか予想できていなかったのですね。このことから、クランボルツは我々のキャリアは予期せぬ偶然によって左右されいる、と述べます。
しかし、キャリアがほとんど偶然によって左右されるとなると、努力は無駄なのか、と言いたくなるかも知れません。この点、クランボルツは、キャリアは偶然が支配するが、個人の行動によって「良い偶然」をまるで計画されたようにもたらすことができると述べます。
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偶然を味方にする「オープンマインド」
クランボルツは「オープンマインド」が重要だと解きます。オープンマインドとは「自分にはこれしかない」と決めつけずに「とりあえずやってみよう」「チャレンジしてみよう」「勉強してみよう」という姿勢のことです。
開かれた姿勢で、前向きに取り組むことで、キャリアを良い方向に運ぶ偶然のチャンスを手にすることができるのです。
クランボルツは具体的には5つの点を意識すれば、偶然を味方にできると述べます。それは以下の5つです。
成功するキャリアの5つの法則
好奇心
「自分にはこれしかない」と決めつけずに、様々なものに興味をもって取り組むがチャンスの幅を拡大し、良い偶然を運びます。
持続性
何でも手をつけてみるのは良いのですが、ある程度持続的に取り組まなければ、チャンスの芽が吹く前に終わってしまいます。すぐに投げ出さずに、興味を持てたことに持続的に取り組む姿勢が、あなたの能力・見識を広げ、チャンスの種を育てます。
楽観性
キャリアにおける失敗やネガティブな出来事もプラスにとらえて行動する姿勢は重要です。たとえば、目指していた大手企業に入れずに、中小企業で働くことになった場合にも「いや、むしろ事業全体を見れるのはチャンスだ。」と考えて、前向きに取り組むことが、チャンスをつくります。
柔軟性
「自分にはこの仕事しかできない」「この仕事しかやりたくない」と意固地になっていては、チャンスをつかめるはずもありません。「これもアリなんじゃないか」と柔軟に考えて、様々な取り組みをはじめる姿勢が、チャンスを運びます。
リスク・テイキング
良い偶然がくるようにするとは、つまりチャンスの種をまいておくということです。チャンスの種をまくには、今までと同じように過ごしていてはいけません。新し取り組みを始める必要があります。新し取り組みを始めるのは、時にリスクにもなります。が、リスクを一切に取らなければチャンスもまた生まれないのです。
最初の仕事が「自分の本当のやりたいこと」であることは稀です。気軽に、前向きに考えて、今の仕事からチャンスをつくりだす方法を考える。この「オープンマインド」の姿勢の方が、最終的には良いキャリアを歩めるのです。