厚生労働省が令和元年10月に発表した、「新規学卒就職者の離職状況」によると、新規大卒就職者の離職率は32.0%にのぼります。
「3年で辞めてしまう新卒」が3割りにもなる昨今、辛いことを投げ出さずに継続できる学生は、企業に魅力的に映ります。
ただ、部活や習い事を長年やってきた学生の多くは継続力をアピールしがちなので、何の戦略もなく継続力を自己PRしても、人事の印象には残りません。
では、どうすれば継続力を魅力的に自己PRできるのでしょうか?わかりやすい例文をもとに、継続力を自己PRする時のコツを解説します。
この記事を読むことで、自己PRで継続力を伝えたい人は、より効果的にアピールできるようになるでしょう。
長所が継続力の例文
まずは、継続力をアピールする例文からご紹介します。例文
私は「折れない」力に自信があります。たとえすぐに成果が出なくても、努力を継続できる人間です。Point 継続力という言葉でアピールする人が多いため「継続力」では埋もれてしまう。自分にあうキャッチフレーズに変換して「継続力」をアピールしよう
この力を発揮したのが、テニス部での3年になってレギュラー入りを果たし、関東大会のシングルスに入賞した経験です。高校時代からテニスをやっていてテニスには自信があったのですが、大学では全く通用しないレベルでした。
何としても上を目指したいという想いから、「自主的な体幹トレーニング」「打球練習」「練習をスマートフォンで録画し、弱点を把握」という努力をしました。しかし、2年になってもレギュラーにはなれず、新人戦でも結果は出ませんでした。そこでも折れず、毎日の打球練習を継続しました。また、部員に「自分はどこが駄目で、どこを伸ばすべきか?」を聞き、客観的に自身を把握しました。
Point 漠然と「頑張って継続しました」というよりも、上記のように「こんな工夫・努力をした」という絵が浮かぶように詳しく努力の過程を伝えよう
「何をしても無駄では?」という想いもありましたが、「やっても成功しないかもしれないが、やらなければゼロだ。なら、やるしかない」と自身を励まし、努力を継続しました。その努力が実り、3年時でついにレギュラーになり、関東大会でも結果を残すことができました。Point なぜ継続できたのか?その動機にふれると、ひたむきに物事に取り組む姿勢がアピールできる
この経験から、たとえ報われないように見えても、努力を継続することで、壁を超えられることを実感しました。貴社においても、どんな時でも前を向き、折れずに努力をし続けたいと考えています。Point 継続した経験から学んだことをアピール。今後も成長しそうな人材だという印象を与えられる
これを使えばOK!自己PRの型
上の例文は、以下の「型」に従って制作されています。この型にしたがって、自己PRを構成するだけで、誰でもわかりやすい自己PRが書けるようになります。
自己PRが書けない時は、自己PR作成ツールを活用しよう
自己PRの内容が薄いと、志望企業に採用されません。選考を突破するには、自己PRを作り込む必要があります。
そこで活用したいのが、自己PR作成ツールの「自己PRジェネレーター」です。
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長所に継続力が適している理由
継続力は社会に出てからも必要な力のため
就活でアピールする長所として継続力が適している理由は、社会に出てからも必要な能力であるためです。社会人となって仕事をするうえで、課題を解決して結果を出すためには、思い通りにならなくても途中で諦めずに取り組み続けることが大切です。
また、地道に経験を積み重ねて成長していける人材、会社に長く勤めて尽くしてくれる人材は、企業にとって貴重で大切な人材だからです。
継続力のパターンは複数
継続力と言っても意味合いがとても広くて、人によって解釈も異なるので注意が必要です。例えば、以下の具体例はすべて継続力と言えます。
・目標を達成し成果を出すために努力を続ける
・失敗に挫けず途中で投げ出さない
・困難な課題でも最後までやり遂げる
つまり、継続力といってもいろんな続ける力があり、それぞにアピールの仕方は異なります。単純に継続力と言ってアピールしてしまうと、曖昧な内容になってしまい説得力が無くなってしまうのです。そのため、自分のアピールしたい継続力とはどのようなものなのかを掘り下げて、明確かつ具体的に示すことが大切です。
企業に何が求められているのかを正確に把握して、希望に沿う要素を上手くアピールすることも重要です。
長所継続力の作成方法
継続力をアピールする方法について、ここからは紹介します。この章で、文章の作成方法について把握しましょう。
1具体的にどんな努力をしたのか
「何としても上位を目指したいという想いから、自主的な体幹トレーニング、打球練習、練習をスマートフォンで録画し、弱点を把握という努力をしました。
しかし、2年になってもレギュラーにはなれず、新人戦でも結果は出ませんでした。そこでも折れず、毎日の打球練習を継続しました。また、部員に自分はどこが駄目で、どこを伸ばすべきかと聞き、客観的に自身を把握しました。」
「活動の中で、具体的にどんな努力をしてきたのか?」は必ず伝えるようにしましょう。結果ではなく、過程を大事とする面接官は多く、具体的に努力する姿を伝えれば、取り組みが面接官に伝わります。しかし、2年になってもレギュラーにはなれず、新人戦でも結果は出ませんでした。そこでも折れず、毎日の打球練習を継続しました。また、部員に自分はどこが駄目で、どこを伸ばすべきかと聞き、客観的に自身を把握しました。」
具体的に「努力したこと・工夫したこと」を詳しく伝えると、あなたの思考力や人柄が面接官に伝わりやすくなります。
たとえば例文からは「結果を出すためにあらゆる方法を模索する」という就活生の姿勢が伝わりますよね。
このように、「努力・工夫の中身」を具体的に説明すると、あなたの人柄・仕事への姿勢が伝わる良い自己PRになります。
期間や量など数字での記載が分かりやすい
長所を伝えるエピソードでは具体性をだすために、期間や量などの、数字・定量的なデータを用いることです。つまり、「Aが出来るようになるために、長時間、必死に頑張りました。」ではなく、「Aが出来るようになるために、1週間で20時間以上の特訓を3ヶ月間おこない、結果的にAに関しては30%技術が向上しました。」というような伝え方をするのです。
具体的な数字を自己PRに盛り込むと、面接官の方は取り組み方が分かり、評価しやすくなります。
2継続できた理由を説明する
例文
何をしても無駄では?」という想いもありましたが、「やっても成功しないかもしれないが、やらなければゼロだ。なら、やるしかない」と自身を励まし、努力を継続しました。「なぜ努力を継続できたのか」の動機を詳しく説明すると、あなたがどんなことに駆り立てられる人なのかが伝わります。
たとえば例文では、辛くても前を向き努力する人柄が伝わりますよね。ビジネスでは、いつも上手くいくとは限らず、努力が実らないときもあれば、失敗もつきものなので、このような資質は高く評価されます。
「なぜ続けられたのか?頑張れたのか?」も、人柄・性格を伝える材料になるのです。「継続できた動機・理由」を伝えるようにしましょう。
モチベーションから人柄を見られている
「何があなたのモチベーションになったのか?」という質問をされる時には、回答からあなたの人柄を見られています。例えば、「1位になること」でしたら、競争心の強い人だという判断になりますし、「人からの感謝が欲しかった」と言うと、貢献意識の強い人と考えられます。
自分が何をモチベーションに動いているのかを見直して、誤解のないように面接官の方に伝えられると良いですね。
3.継続することで何を学び仕事にどう活かすか
例文
この経験から、たとえ報われないように見えても、努力の継続により壁を超えられることを実感しました。貴社においても、どんな時でも前を向き、折れずに努力をし続けたいと考えています。「今後の可能性」をアピールするには、「継続してきた経験から何を学んだか?」を伝えることです。経験から学び、成長する姿を示せば、あなたのポテンシャルを採用担当にPRできます。継続により何を学んだか?を必ず伝えてください。
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長所:継続力の注意点
何も考えずに続けているだけのエピソードは評価に値しない
継続力をアピールする際の注意ですが、何も考えずに続けているだけのエピソードは評価に値しません。何となく惰性で続けていたり、誰かに言われて続けていたりと、目的もなく続けることは長所にはなりません。
企業が知りたいのは、あなたの目的や考え、目的を達成するために行った努力や工夫です。つまり、何か継続して行う過程で、あなたがどのように成長したのかを知りたいと思っています。
そのため、単純に継続した期間だけをアピールした自己PRでは評価につながりません。継続した理由やあなたの考えが明確に伝わるような自己PRを作成するようにしましょう。
エピソードは大学時代のものを選ぶ
自己PRに使うエピソードは、基本的に大学時代のものを選ぶようにしてください。採用選考というのは今のあなたを売り込む場です。中学・高校時代のエピソードをいくらアピールしたとしても、今のあなたのアピールとしては弱くなってしまいます。
大学時代には何もやってこなかった、向上心がないという印象を持たれてしまうと、長所をアピールしたつもりがマイナスイメージにつながってしまう危険性もあります。
例外として、大学時代以前に始めて現在まで継続しているエピソードや、大学時代の経験を補完するためのエピソードとして取り入れるのであれば問題ありません。
しかし、幼少期や大学時代以前で完結してしまうエピソードの場合、両親の影響が強い場合もあるので、あなた自身の人柄が見えずらいです。
エピソードは2つ以上用意しておく
継続力をアピールするためのエピソードは、出来れば2つ以上用意してください。1つエピソードでは、長所というより、たまたまだった話しかもしれません。社会に出てからの再現性を確認するために、企業は、「その他継続力を感じられるエピソードはありますか?」と質問する場合もあります。
学生にとってアピールしやすい長所である以上、長所として継続力を評価するなら1つのエピソードだけだと物足りないと思われてしまう可能性があります。
面接官に「その他のエピソードはありますか?」と聞かれてしまった場合に備えて、継続力をアピールできるエピソードは複数用意しておくようにしましょう。
面接での長所・短所の伝え方|質問される理由や答え方の例文を紹介
長所が継続力の例文
例文
私の長所は、クリアすべき課題を明確にして、優先順位をつけて対処をすることで目的までの最短距離を探ります。私は大学時代、飲食店のオープニングスタッフとして働いていました。オープン当初はトラブルの連続で、お客様からのクレームが相次いでいました。
そんな中、クレーム対応の責任者を任されることとなった私は、クレームの絶対数の減少を目指しました。まずは、クレームを内容ごとに分類し、クレーム数と対策の難易度から優先順位をつけることにしました。
そして、オーダーミスに起因するクレームが最も多いとが分かり、緊急度が高く対策も比較的簡単に行えると考えた私は、オーダーミスを減らせるようにオーダーの復唱、キッチンへのオーダー確認を徹底させました。
その結果、多いときで1日3件以上あったクレームを週2件程度まで抑えられ、さらに優先度順に対応を続けることで、月に1件以下の頻度までクレームを減らしました。
社会人となっても、課題の明確化と優先順位付けを徹底して、課題解決までの最短ルートを見つられるように取り組んでいきたいと考えています。
このように具体的に表現することで、強みが簡単かつ明確に伝わるようになり、採用担当者があなたの入社後の活躍をイメージしやすくなるのです。
例文
私の長所は、目標に向けて無理のないマイルストーンを設定して、最後までやり抜く点です。私は高校・大学と卓球部に所属しており、私の所属する〇〇大学の卓球部では、全日本大学選手権の3回戦進出が歴代の最高成績となっていました。
最高成績を塗り替えることを目標としていましたが、大学1年生の関東地区予選で初戦敗退という結果に終わり、がむしゃらに頑張るだけでは目標達成は難しいと考えました。
計画的な練習が必要と考えた私は、大学3年での目標達成をゴールとして、1ヶ月ごとにマイルストーンを設定しました。
そして、新しいサーブの習得、フォームの改善、レシーブの強化等、マイルストーンに合わせて練習メニューを調整し、1ヶ月ごとに達成状況の確認とマイルストーンの微調整をいおこないました。
その結果、目標達成は叶いませんでしたが、自己最高成績となる関東地区予選ベスト8を達成しました。
貴社でもこの経験を活かして、最終目標に向けて達成可能なマイルストーンを積み重ねて最後までやり抜くことで貢献していきたいと考えています。
考えもなし努力を続けるだけでは目標達成はできないと気付いたこと、小さな目標を積み重ねることで最終目標を現実的なゴールに落とし込んだこと等、過程の中で成長が感じられる自己PRになっています。
NG例文
例文
私の強みは、誰にも負けない継続力です。私は大学で、太陽光発電に関する研究を行っており、発電効率を高めるための触媒の開発を目指していました。
太陽光発電に関しては、既に多くの研究がなされており、発電効率を今以上に高めることは非常に困難な課題でした。
しかし、私は諦めずに教授と協力して試行錯誤を繰り返し新触媒の開発に成功しました。
貴社の新商品開発においても、この継続力を活かして貢献していきたいと考えています。
また、「研究の課題に対して諦めず試行錯誤を繰り返した」とありますが、これは研究を行う上で当然の姿勢であり、あなたの考えや工夫も全く伝わってきません。試行錯誤の内容をもっと掘り下げて、あなたの頑張りが具体的に伝わるようにしましょう。
長所として継続力を伝えるときは具体的なエピソードがある内容を選ぶ
長所として続力をアピールする場合は、どのような継続力をアピールしているのかを明確にして、分かりやすく言い換えて伝えましょう。企業が求めている継続力はどのようなものか、具体的なエピソードを添えて説得力を持たせることができるかを判断材料に、自分の魅力が最も伝わるような継続力の見せ方を探るようにしましょう。
継続力は他の就活生との差別化が難しく、平凡でよくある自己PRとなってしまいがちな長所ですが、上手くアピールすることができれば高評価を得られる長所でもあります。
本記事で紹介したポイントを上手くおさえて、面接官に活躍が期待できると思わせられるような自己PRを目指しましょう。
自分の強みは本当に「継続力」なのか、自己分析ツールで確認しよう
『継続力』を自己PRする人の中には、自分の強みを勘違いしている人もいます。強みを勘違いしていると自己PRは上手くいきません。自分の本当の強みを見極めるには、自己分析ツール「My analytics」が便利です。36の質問に答えるだけで、あなたの強み・弱み→それに基づく適職をサクッと診断できます。
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