内定辞退の伝え方|電話じゃなくてもいい!? 連絡の注意点と合わせて解説

複数の企業にエントリーして始めた就活。本命だけでなく、いくつか内定をもらっている人もいるでしょう。

2020年卒の採用活動をおこなった企業を対象にマイナビがアンケートをとったところ、内定辞退率が4割と答える企業が20%越えと最も多い結果となりました。

内定を複数得ても、最終的に入社できる企業は1社のみであり、1社以外は内定を辞退しなくてはいけません。

志望度が高いと面接で伝えていたのにも関わらず、内定辞退の連絡をしないといけない。人事へ連絡しにくい気持ちは非常に分かります。

心苦しいですが、内定をくれた企業すべてに入社はできないので、辞退の連絡をしなくてはいけません。
では、どのように伝えればいいのでしょうか。

この記事では、内定辞退の方法を解説します。この記事を読むことで、内定辞退の伝え方が分かるだけでなく、内定辞退を伝えて企業から返信がきたときの対応も解説します。

内定辞退の連絡は基本的には電話でする

意思や誠意がはっきり伝わる

内定辞退は、連絡しづらいかもしれませんが電話で伝えましょう。
メールよりも直接言葉で伝えた方が、意思の強さや誠意がしっかりと伝わります。

面接やオファー面談など、担当者と会ううちにすっかり親しくなった場合はなおさら、これまでお世話になったお礼を伝えるためにも電話で伝えましょう。

内定辞退は結果的に期待を裏切ることになってしまいますが、真摯に辞退の旨を伝えれば、あなたの決断を尊重してくれるはずです。

辞退への謝罪と、今までお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えましょう。

電話で内定辞退を伝える際のテンプレ

例文

◯◯大学△△学部の◯◯◯◯と申します。
お忙しいところ恐縮なのですが、人事部◯◯課の◯◯様をお願いできますでしょうか?(担当に代わる)

◯◯大学△△学部の◯◯◯◯と申します。

先日は内定の通知をいただき、心より感謝しております。身勝手なお願いで誠に心ぐるしいですが、本日は貴社の内定を辞退させていただきたいと思いご連絡いたしました。

本来ならば直接お伺いしてお詫びしななければならないところ、取り急ぎお電話でのご連絡となりますことを何卒ご容赦いただければと存じます。

(了承の返事がもらえたら)

貴重なお時間をいただいたもかかわらず、誠に申し訳ありませんでした。失礼いたします。

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内定辞退が伝えにくい場合はメールでもOK

どうしても内定辞退を電話で伝えるのは気が引ける場合は、メールでも問題ありません。メールなら直接担当者と会話する電話より緊張が少なく、内容を見返しながら最も良い文章を担当者に伝えられます。

企業からしてもメールでの内定辞退は電話よりも負担になりません。新卒の採用数100名を超えるような企業であればあるほど辞退者の割合も多く、一人一人電話で対応するのは負担になりますし、電話記録に残らないので管理がしにくくなります。

メールで内定辞退を伝える際は以下のテンプレートを参考にしてください。

メールで内定辞退を伝える際のテンプレ

例文

件名:【内定辞退のご連絡】◯◯大学△△学部
◯◯◯株式会社 人事部◯◯課
採用担当◯◯様

お世話になっております。
◯◯大学△△学部の(氏名)です。

この度は採用内定の連絡をいただき、誠にありがとうございました。

このような光栄なお知らせをいただいたにもかかわらず、誠に恐縮なのですが、
貴社の内定を辞退したいと思いご連絡いたしました。

自身の適性や今後のキャリアを鑑みた結果、別の会社とのご縁を感じ、
そちらの企業に入社する決断に至りました。

貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなお返事となり
誠に申し訳ありません。

また、本来ならば直接お伺いしてお詫びしなければならないところ、
メールでのご連絡となりますことを何卒ご容赦いただければと存じます。

末筆ながら、貴社の益々の発展をお祈り申し上げます。
―――――――――
署名

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これを読めば、初めての内定辞退連絡もスムーズにこなせるようになるでしょう。

内定辞退をメールで伝える際の注意点

メールが届かないと辞退が伝わらない

辞退を決めたら企業に連絡する必要がありますが、メールの場合は辞退の意思を確実に伝えるようにしましょう。

きちんと辞退の意思が伝わっていなければトラブルにつながるケースもありますから、辞退メールを送って数日経っても返信がない場合は、メールを送り直すか、電話で連絡して辞退の意思が伝わっているか確認してください。

メールで辞退連絡をしても引き止めのために電話がくるケースもある

電話で連絡しにくいためにメールを選んでも、企業の担当者から引き止めの電話がかかってくることも考えられます。

電話で直接会話するのは気が引けるかもしれませんが、辞退の仕方によっては大学の評判を落としかねませんから、電話を無視するのはやめ、誠実な対応を心がけましょう。

また、内定辞退を考え直してもらうために、厳しく追求してくることも想定できます。相手の勢いに気圧されて嫌々入社するのが最も良くないことですから、曖昧な返事で「改めて考えてみます」と回答を先延ばしせず、はっきりと辞退の旨を伝えましょう。

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内定辞退を伝えた後に手紙を送るとさらに誠実さが伝わる

必須ではありませんが、電話やメールで辞退の旨を伝えた後にお詫びの手紙を送るとさらに誠実さが伝わります。手紙は電話やメールよりも丁寧な印象を与えるので、円満な辞退につながりやすくなります。

特に、知人に紹介してもらった企業を内定辞退する場合や内定承諾後に内定辞退をする場合は、改めて手紙でも謝罪の気持ちを伝えるのが望ましいでしょう。

また、今後同じ業界で働いていくつもりであれば、辞退した企業とも関わる機会があるかもしれませんから、悪い印象を持たれないよう誠意のある対応を心がけることが大切です。

手紙のテンプレ

例文

拝啓 晩秋の候、貴社益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。

この度は採用内定の連絡をいただき、誠にありがとうございました。

このような光栄なお知らせをいただいたにもかかわらず、誠に恐縮なのですが、
貴社の内定を辞退させていただきたいと思いご連絡いたしました。

自身の適性や今後のキャリアを鑑みた結果、別の会社とのご縁を感じ、
そちらの企業に入社するという決断に至りました。

〇〇様や貴社の皆様には大変お世話になり、貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなお返事となり誠に申し訳ありません。

末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

敬具

平成◯年◯月◯日
◯◯大学△△学部(氏名)

◯◯◯株式会社 人事部◯◯課
採用担当◯◯様

内定辞退の理由は正直に伝えても良い?

他社への入社は伝えてOK

内定辞退の理由を聞かれた場合は、失礼にならないよう言葉を選びつつ、理由を正直に答えましょう。

他社への内定を伝えても問題ありませんが、具体的な会社名を挙げると説得される可能性もあるので、「別の業界に進むことにした」「自分の適性に合った企業を選んだ」と伝えるほうが無難です。

また「第1志望の企業から内定が出たから」というようにあまりに率直すぎる答えは控えましょう。面接を受けた企業に「第一志望です」や「内定をいただけたら一生懸命頑張ります」といった旨を伝えていませんか?

面接のときは本心だとしても、人柄を疑われることは避けるべきです。

その他内定辞退の理由例

内定辞退の理由を聞かれた際には、きちんと答えましょう。企業も「なぜ断るのか」を知って、今後の採用活動に活かしたいと考えています。

内定辞退の理由としては以下があげられます。

【職種が理由】
他社から◯◯職で内定をいただき、自身の適性を改めて考えた結果、◯◯職の仕事が自分のやりたいことに近いと感じ、このような決断となりました。
【業種が理由】
◯◯業界の会社から内定をいただき、自身の適性を改めて考えた結果、◯◯業界の仕事が自分のやりたいことに近いと感じ、このような決断となりました。
【適性が理由】
他社からいただいた◯◯という仕事が、私の◯◯という長所をより活かせると感じ、最後まで悩みましたが、このような決断となりました。
【地元就職が理由】
地元の企業から内定をいただき、郷土へ貢献したいという想いが捨て切れず、このような決断となりました。

条件面を伝えるのはマナーとしてNG

内定辞退の理由を答える際、条件面を理由に挙げるのはNGです。

たとえ給与や福利厚生などの条件面が内定辞退の理由だったとしても、「別の企業のほうが良い条件だった」と正直に答えるのは相手に失礼にあたります。

転職による中途採用であれば、待遇を理由にすることで、どうしても企業が欲しい人材であれば、給与UPを提示する場合もありますが、新卒採用の場合はほとんど給与の変更はなく、一律です。

給与は選考時には提示されており、それを分かったうえで応募しているので、内定辞退の理由を給与や待遇とするのは控えましょう。

上記で紹介した、別の職種や業種を選ぶことにした、自分のキャリアプランにより近いほうを選択した、といった回答が適当です。

承諾書を提出した後でも内定辞退は可能

内定承諾書に法的効力はない

最高裁の判例によれば、内定は「双方が解約権を持つ始期つきの労働契約」です。

簡単に言えば「4月1日からスタートする労働契約(始期つき労働契約)」だけど、「双方が解約権を持つ(企業・内定者どちらもキャンセルして良い)」ということです。

したがって、内定者は内定契約を解消できるのです。

労働開始の2週間前までに辞退する

「契約期間の定めのない労働契約においては、労働者は2週間の予告期間を置けば、特段の理由を必要とせずに労働契約を一方的に解除できる(民法627条1項)」

契約期間の定めのない労働契約とは、要するに正社員の契約です。この契約は2週間前に予告をすれば、「特段の理由を必要とせず」に「一方的に解除できる」のです。

つまり4月1日の2週間前までなら、特別な理由をせずに「辞退します」と言えば、法律的にには正式に辞退が可能です。

内定辞退を伝える際の注意点

内定辞退は早めに担当者に連絡する

内定辞退は法律上、入社の2週間前まではできるようになっていますが、企業的には内定式前や早けれ早い段階での辞退連絡を望みます。

内定辞退の連絡が遅くなれば、募集サイトのクローズや入社準備にとりかかる企業の負担は大きくなるため、辞退を決意したのであれば、可能な限り早めに連絡をしましょう。

特に入社直前の場合は、既に入社の準備が整っている可能性が高いので、迅速に連絡する必要があります。

連絡の方法もメールや手紙ではなく、確実に相手に伝わる電話での連絡が最適です。

企業への電話は平日の日中にかける

電話で辞退を伝える場合は休日の連絡は避け、平日の営業時間内にかけるようにしましょう。電話をかける時間帯としては、始業開始直後、昼休み、就業間際の時間帯は避けるのがマナーです。

始業開始直後と就業間際は前日や当日の事務処理があるケースが多く、昼休みは担当者が不在のケースがあります。そのため、業務が比較的落ち着いていることの多い11時頃や、15時頃を狙って電話をかけるのがベストです。

もちろん企業の定休日や営業時間によっても連絡しやすい時間帯は変わりますが、辞退の連絡をする際は相手に配慮することが大切です。

内定辞退を伝えたことによる呼び出しには応じない

内定辞退の連絡をすると、企業側から「確認のため一度会社に来てもらえますか」などと言われる場合があります。

その場合、「内定辞退を考え直してほしい」と説得されるケースがほとんどなので、既に辞退の意思が固い場合、必ずしも呼び出しに応じる必要はありません。

内定辞退を取り消す気がないのであれば、わざわざ会社を訪問してもお互いの時間を無駄にするだけです。意思が固いことを伝え、呼び出しに対して断りを入れましょう。

内定辞退はメールで迅速かつ丁寧に伝える

内定辞退をする際に最も大切なのは、できるだけ早めに内定辞退の旨を伝えることです。

基本的には、早めに連絡できるメールで伝えましょう。メールであれば落ち着いて文章を考えられるので、内容がわかりやすく、相手に確実に伝えられます。

直接訪問や電話で内定辞退をするのが億劫で、なかなか辞退の旨を伝えられない人は、メールで早めに連絡をしましょう。

ただし、内定式直前や入社直前など、より迅速に相手に伝えなければならない場合は、メールではなく電話で連絡すべきです。